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気分安定薬の種類にはどのようなものがあるのか

2018/03/03

 

*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。

 

気分安定薬の種類にはどのようなものがあるのか

 

気分安定薬(ムードスタビライザー)は、

気分の波を小さくしてくれるお薬になります。

 

その効果は3つに分けることができます。

  • 気分を鎮める抗躁効果
  • 気分を持ち上げる抗うつ効果
  • 気分の波を少なくする再発予防効果

 

気分安定薬は、主に双極性障害の治療で使われます。

双極性障害では、患者さんによってその症状のあらわれ方は異なります。

患者さんごとに、適切なお薬を選んでいきます。

 

ここでは、気分安定薬の種類について詳しくお伝えしていきます。

 

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1.気分安定薬に期待される3つの効果

抗うつ効果・抗躁効果・再発予防効果が期待されます。

 

気分安定薬は、おもに双極性障害に使われるお薬です。

双極性障害とは脳の機能的な異常により、

躁症状とうつ症状を繰り返す病気です。

 

躁症状では、頭がさえて活動的になり気分が異様に高まります。

周囲のことを気にかけずに気分のままに行動してしまいます。

 

借金やギャンブル、浮気や暴力などによって

友人や家族との関係を損なったり、

非常識なことをしてしまって

仕事や地位を失ったりしてしまいます。

 

うつ症状では、

気分がめいってしまい意欲がわかなくなってしまいます。

 

物事に集中もできなくなってしまい、

倦怠感が強くなります。

 

本来の活動ができなくなってしまうことで、

社会的な損失をひきおこしてしまいます。

 

双極性障害ではこのような症状を、

波をうつようにして繰り返してしまいます。

 

ですから双極性障害の治療としては、

大きく2つの目的があります。

  • 現在の気分の波を正常範囲に近づける
  • 気分の波を少なくして繰り返しを避ける

 

このため気分安定薬としては、

以下の3つの効果が期待されます。

  • 気分を鎮める抗躁効果
  • 気分を持ち上げる抗うつ効果
  • 気分の波を少なくする再発予防効果

 

今困っている症状を緩和していかなければいけません。

躁症状には抗躁効果のある薬を、

うつ症状には抗うつ効果のある薬を使う必要があります。

 

また、長い目で見ると

気分の波を少なくする再発予防効果が重要です。

 

2.気分安定薬はどのような種類があるの?

リーマス・デパケン・テグレトール・ラミクタールの4つが

気分安定薬に分類されています。

 

気分安定薬は、

気分の波を小さくしてくれるお薬のことです。

 

気分安定薬としては、4つの薬が分類されています。

  • リーマス(炭酸リチウム)
  • デパケン(バルプロ酸ナトリウム)
  • テグレトール(カルバマゼピン)
  • ラミクタール(ラモトリギン)

 

これらのお薬の作用機序ははっきりとわかっていませんが、

脳の活動を抑制することで

気分安定作用が期待できると考えられています。

 

デパケン・テグレトール・ラミクタールの3つは、

抗てんかん薬として開発されたお薬になります。

 

気分の波を小さくしてくれるという意味では、

抗精神病薬も気分安定作用があるといえます。

 

しかしながら抗精神病薬は、

統合失調症治療薬として開発されたお薬です。

このため一般的に、気分安定薬には含めません。

 

気分安定薬は穏やかに気分を落ち着けるのに対し、

抗精神病薬は鎮静作用によって気分を落ちつけます。

 

急を要する場合は抗精神病薬を使い、

じっくりと治療できるときは気分安定薬を使うのが一般的です。

 

再発予防効果としては抗精神病薬では物足りないものが多く、

気分安定薬のリーマスとデパケンが優れています。

 

3.4つの気分安定薬とは?

それでは具体的に4つの気分安定薬をみていきましょう。

 

3-1.リーマス(炭酸リチウム)

リーマスはもっとも古くから使われている気分安定薬です。

このため、多くの研究が積み重ねられてきたため、

エビデンスが豊富です。

 

  • 気分を鎮める抗躁効果(中程度)
  • 気分を持ち上げる抗うつ効果(中程度)
  • 気分の波を少なくする再発予防効果(強い)

 

3つの効果をすべて持ち合わせており、

特に再発予防効果には定評があります。

また、自殺予防効果が示されている唯一のお薬になります。

 

しかしながら治療域と安全域が狭いため、

中毒に注意が必要です。

 

定期的に採血をして、

血中濃度を確認しながら使っていきます。

妊娠への影響も大きなお薬なので、

妊娠の可能性がある方には注意が必要です。

 

リーマスは気分爽快や多幸感が認められるような、

比較的ピュアな躁症状がある方に向いています。

 

3-2.デパケン(バルプロ酸ナトリウム)

デパケンも古くから使われているお薬です。

抗てんかん薬として広く使われており、

その中で気分安定化薬としての効果がわかってきました。

片頭痛の予防薬としても使われています。

 

  • 気分を鎮める抗躁効果(中程度~やや強い)
  • 気分を持ち上げる抗うつ効果(弱い)
  • 気分の波を少なくする再発予防効果(中程度~やや強い)

 

デパケンは、リーマスに次いで再発予防効果が優れているお薬です。

抗躁効果もしっかりとしていますが、抗うつ効果は乏しいです。

 

デパケンの特徴としては、

気分安定薬の中では比較的安全性が高い点です。

 

眠気の副作用が比較的多く、

高アンモニア血症や肝機能障害には気をつける必要があります。

また、妊娠への影響にも注意が必要です。

 

デパケンは、複雑な躁状態の方に向いています。

以下のような方では、デパケンが向いています。

  • エピソードが10回以上(気分の波を繰り返している)
  • 躁うつ混合状態
  • 急速交代型(躁とうつを短期間で繰り返す)
  • 焦燥感が強い

 

3-3.テグレトール(カルバマゼピン)

テグレトールも、てんかんの治療薬としては広く使われているお薬です。

デパケンと同様に気分安定薬としても使われていて、

他にも三叉神経痛にも適応が認められています。

 

  • 抗躁効果(やや強い)
  • 抗うつ効果(弱い)
  • 再発予防効果(中程度)

 

テグレトールは抗躁効果の強さが特徴的です。

しかしながら副作用が全体的に目立ち、

重篤な副作用のリスクも高いお薬です。

重症薬疹や無顆粒球症などに注意が必要です。

 

テグレトールは、

デパケンやリーマスでも

躁症状を繰り返してしまう方に使われるお薬です。

 

3-4.ラミクタール(ラモトリギン)

ラミクタールは、

難治性てんかんの治療薬として作られた比較的新しいお薬です。

 

  • 抗躁効果(弱い)
  • 抗うつ効果(やや強い)
  • 再発予防効果(中程度~やや強い)

 

ラミクタールには、

抗うつ効果を期待することができます。

気分安定薬の中で抗うつ効果が期待できる薬は少ないため、

ひとつの有効な選択肢となります。

 

また、副作用が少なく、妊娠への影響も少ない薬です。

ただ、重症薬疹の頻度だけ高いため注意が必要です。

薬疹に注意しながら用法どおりに使っていれば、

比較的安全性の高いお薬といえます。

 

ラミクタールは、うつ状態が中心の方には向いているお薬です。

また、妊娠を考えている方にも向いているお薬です。

 

まとめ

気分安定薬には、抗うつ効果・抗躁効果・再発予防効果が期待されます。

リーマス・デパケン・テグレトール・ラミクタールの4つが

気分安定薬に分類されています。

 

 

 

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