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[ 新専門医制度問題 ] 機構副理事長松原氏講演より 第四回「内科が突然いなくなったという報道は誤報!?」、氏の言葉を読み解く

2018/03/27

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

仙台厚生病院 医学教育支援室
遠藤希之

2018年3月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

専門医転職

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連載でお届けしている

 

「機構副理事長松原氏講演より」第四回である。

(第三回はここをクリック)

 

この連載は日本専門医機構副理事長、松原氏が、

「「地域推薦枠医学生の卒前・卒後教育をどうするか?」

~新専門医制度下の地域枠卒業医師の動向~」というシンポジウム

(2018年2月16日 於 一橋大学)で

基調講演を行った内容を紹介し読み解くものである。

 

氏は病気療養中の吉村機構理事長に代わり

「記者会見を仕切り」「総合診療科の研修内容決定」

さらには「施設認定を行った」、

など専門医機構内での実務上のキーパーソンである。

 

第四回は予定を変更し、

氏の「内科が突然いなくなったという報道は誤報!?」という

氏の発言を読み解きたい。

 

例によって氏の発言内容の詳細を記す。

 

「内科学会の数でありますから、

内科の認定医の数とほとんどピッタリ合っています。

ですから、内科が突然いなくなったという報道は誤報であります。

きちんと日本国から出ているわけではありませんので、

内科の数が減ったわけではありません。」

 

これだけを読むと、

何のことやら判らない読者が大多数かもしれない。

 

実は、昨年の専攻医一次応募者数が発表になって以降、

メディアや複数の研究者グループが

「地域別もさることながら、診療科別にも格差が生じた」と

指摘してきていた。

 

特に内科が減っていると証明してきたのだ。

 

それらに対し、

何度にもわたる会見において、

氏と機構側は「内科減少」をかたくなに否定し続けてきたのである。

 

一方で昨年10月以降、

機構側は一回たりとも検証に耐えうる精確なデータを

「厚労省の審議会が要請」しても、出していないのだ。


この発言は、それらに対する氏の想いの発現が

たまたま講演の中にでてきたものと思われる。

 

また、最後の「きちんと日本国から出て、云々」は、

氏の一流のジョークなのかもしれない

(筆者の買い被りかもしれないが、

いずれにせよ内科医が大勢日本を脱出している事実は、ない。

そんな報道をしたメディアも、ない)。

 

ただ上記の言葉の前には以下の発言があったという。

なおこれも、会に出ていた方によると話の流れで唐突に出てきたそうだ

(突然の言い訳に聞こえたという)。

 

「今回、二次募集が終わりました。

だいたい今回の結果、8337人が採用者として決まっております。

9割以上にあたる先生方は入っています。

 

内科2655人でありますから、

内科の先生方の中には3年目から普通の病院へでて

内科をされている方がいらっしゃいます。

 

厚生労働省の統計での三師調査というのは

専門医を取らないつもりで

市中病院で内科をやっている先生方も全部入っていますので、

比較しますと、全然数字が違ってまいりますが、

それはそれぞれ調査の方法と目的が違いますので当然のかたちであります。」

 

始めに紹介した発言内容と合わせ

氏の言わんとするところを要約してみる。


1)今回の内科専攻医応募は2655人だった(二次募集後の正確な数字である)
2)9割は入っている

   (通釈:全科については、恐らく2016年合格の医師の9割、ということだろう)
3)厚労省統計三師調査は、

      専門医を取らないつもりで市中病院で内科をやっている医師もいる

   (通釈:だからつまり、三師調査は多めに見積もられている可能性がある)。
4)内科学会の調査は、内科認定医の数とほとんどピッタリ合っている

   (通釈:学会調査数は正確で、専攻医志望数と同じだ)。
5)従って学会調査数が正しく、

      三師調査は「目的」が異なり数が異なるから比べてはならない。


検証してみよう。

 

松原氏が正確と言う各学会の調査、と、

同時期の厚労省調べの三師調査の結果は、

実はすでに昨年3月に厚労省のホームページで公開されている

(他の公表データはない)。

 

読者のみなさんもぜひご覧になってほしい。

「「新たな専門医の仕組みについて」

平成29年3月15日(水) 厚生労働省医政局医事課」の資料2のスライドである。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/323.pdf

 

この資料の3枚目のスライドが、

平成22年度から26年度、

5年間の(各科)後期研修医採用実績の平均である。

 

各領域研修委員会(学会)と専門医機構調べ、

であるから「正確」なはずだ。

 

例えば、この資料では学会、

機構調べの五年間の年平均内科専攻者数は「3147人」だ。

 

繰り返すが氏に言わせれば

これが「正確な数字」なのだ

(内科学会が5年間分もの資料を調査した結果だからだ)。

 

そしてこの資料のすぐ後に、

厚労省調べの三師調査、3-5年目の医師登録数が出ている。

 

内科専攻医師は三年間合わせて7950人、

一年平均は2650人に過ぎない。

 

この差について松原氏は、

一月の機構記者会見では

「三師調査は全数調査ではない。

だから少なめにでる。きちんとした数字ではない」と発言している。

 

例えば以下の記事に詳しい。

https://www.m3.com/news/iryoishin/581029

 

ところが驚く事に、この記事中、

氏は「(上記の)三師調査では(年)2650人であり、

今回の登録数は2658人で8人増えている」と言っている。

 

今度はみずから正確ではないという三師調査の数字を挙げ、

内科は減少していないと主張しているのだ

(ちなみに、氏が「ピッタリあっている」という、

厚労省のホームページ中の

「学会と機構調査」の結果で比較すると、

内科登録者数は二割も減っている)。

 

一体、どちらが正しいのか?

 

しかも今回の講演では、三師調査は

「内科登録をしていない医師も内科と言っているから、

多めに登録されている」という、

上述記事とは逆の内容の発言をしているのだ。

 

氏は会見のたびに都合の良い数字を出し、

報道記者や市井の医師、

厚労省のお役人までを何とか煙に撒こうとしているとしか思えない。

 

ところで機構のいう大都市5か所のシーリング、

つまり「上限募集数」は過去五年間の最多募集数としていたはずだ。

 

ところが今回、

東京都の内科基幹施設の募集定員を合計すると

実に827人に上っていた。

 

東京の「上限募集数」はこの数字だった事になる。

ちなみに今回、東京都内の一次に応募した内科専攻医数は520人である。

この時点で、すでに東京の内科専攻医数、

過去平均を20%以上、オーバーしている。

 

機構はなぜ、内科専攻医、

東京都の募集定員数最多827人を上限規制の数字にしたのか?

一体、その数字はどこから出てきたのか?

 

厚労省審議会を始め、

市井の現場医師たちが常に要請していたことがある。

 

機構は「持てるすべてのデータを、直ちに公表せよ」。

しかしこれまで彼らは全くそれに応じていない。

 

その一方、東京から周辺地域に派遣しているから

東京の登録数が増えてみえる、

などと根拠の無い「言い逃れ」ばかりしている。

 

松原氏の地域別・診療科別の応募者数に関する解釈は

疑惑が多すぎる。

 

読者の意見は如何であろうか。

やはり、誠実に「検証に耐えうる全データ」をすぐに公表せよ、

という諸賢が多いことと思う。

 

さて、この連載を始めてから

全国の医師から要望、問い合わせが来ている。

 

「外科や産婦人科は機構に入るべきではなかったのか?」

「総合診療医は臨時医専の何でも医なのか?」など、

とにかく松原氏の講演は各所、各診療科で問題になっているという。

 

そこで次回は

「外科が機構の一次にいるのはオカシイ!」という題で続けようと思う。

 

 

追記:次回は、神奈川県の医療界に関する発言を取り上げようと思っていましたが、

上記といたします。

神奈川の怒れる医師さんたちは今しばらくお待ちくださいませ

(情報提供は大歓迎です!)。

連載が何回続こうとも、必ず書きます!

 

 

 

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