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クラリチンの副作用と安全性

2018/04/04

 

*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。

 

クラリチンの副作用と安全性

 

クラリチンは、第二世代の抗ヒスタミン薬です。

 

抗ヒスタミン薬とは、

過剰に分泌されるヒスタミンをブロックすることで、

アレルギー症状を抑えるお薬です。

 

抗ヒスタミン薬は眠気の副作用が問題になることが多いですが、

クラリチンは第二世代の中でも眠くなりにくいお薬です。

 

副作用の少なさがクラリチンの売りですが、

効果はマイルドな抗ヒスタミン薬です。

症状がひどい方では効果が乏しいことがあります。

 

ここでは、クラリチンの副作用と安全性について

まとめていきたいと思います。

 

花粉症クラリチン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.クラリチンの副作用の特徴

第二世代は第一世代に比べると

ヒスタミンだけに作用するように作られていて、

中枢への作用も少なくなっています。

 

このため、クラリチンでは

眠気や口の渇きなどの副作用が軽減されています。

 

クラリチンは第二世代の抗ヒスタミン薬に分類されています。

抗ヒスタミン薬は、

ヒスタミン受容体をブロックすることで

アレルギー反応を抑えて効果を示します。

しかしながらヒスタミンは、

実は全身に色々なところで活躍しています。

 

脳では神経伝達物質として情報の橋渡しをしていますが、

抗ヒスタミン薬によって脳での働きがブロックされてしまうと、

中枢神経が抑制されて眠気が出現します。

 

また抗ヒスタミン薬は、

抗コリン薬と似ている部分があります。

 

このためアセチルコリン受容体をブロックしてしまい、

便秘・口渇・尿閉といった抗コリン作用が起きることもあります。

そのため抗コリン薬が禁忌である緑内障患者や前立腺肥大患者には、

抗ヒスタミン薬も禁忌とされていました。

 

このように、副作用がかなり強いのが発売当初の抗ヒスタミン薬でした。

こうした強い副作用のお薬を「第一世代」と呼んでいます。

 

1980年代になると、

ヒスタミン受容体のみをブロックして、

アセチルコリンの受容体をほぼブロックしないお薬が開発されました。

中枢作用も少なく、このお薬を「第二世代」と呼んでいます。

 

クラリチンは第二世代の中では、

もっとも眠気の副作用が少ないお薬のひとつです。

しかしながら効果も弱いため、

症状が比較的軽い方に向いている抗ヒスタミン薬です。

 

2.クラリチンの安全性とは?

クラリチンは抗ヒスタミン薬の中では眠気の副作用が少なく、

車の運転に関する注意の記載も添付文書にありません。

 

クラリチンの使用成績調査での調査症例1,653例中、

副作用が報告された症例は173例(10.5%)でした。

 

主な副作用は眠気105件(6.4%)、倦怠感23件(1.4%)、

腹痛15件(0.9%)、口渇15件(0.9%)、嘔気・嘔吐9件(0.5%)でした。

 

クラリチンは抗ヒスタミン薬の中でも、

眠気が出現しにくい薬です。

 

自動車運転における影響をみた試験では、

運転能力に影響は及ぼさないという結果がでています。

 

また添付文書では、以下のように記載されています。

 

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与を避けることが望ましい
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

 

これはお薬のほぼすべてに記載されている文章です。

クラリチンの動物実験(ラット、ウサギ)では

奇形は発生しませんでしたが、

ラットでクラリチン成分の胎児への移行が認められています。

 

一方で授乳中の婦人には、

乳汁中へ移行することが報告されています。

このため添付文書上は、以下のように記載されています。

 

[授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。]

 

これまで、赤ちゃんが

クラリチンの成分を服用したことによる問題は起こっていません。

授乳は避けられるものという考えから、

添付文書上は勧められていません。

 

ですが医師の立場としては、

添付文書にこう書かれている以上はお勧めしないとしか言えないでしょう。

実際のところは、自己判断で服用されている方も多いと思います。

 

ほかに、てんかんの持病を持っている方に

けいれん発作を起こしたという報告があります。

クラリチンでは非常にまれだとは思いますが、ゼロではありません。

 

3.クラリチンの副作用-眠気

クラリチンは、

抗ヒスタミン薬ではもっとも眠気の出現しにくいお薬です。

 

よく使われる第二世代抗ヒスタミン薬の効果と眠気について

比較してみましょう。

 

第二世代抗ヒスタミン薬の効果と眠気の比較して一覧しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このように見てみると、

クラリチンは眠気が出現しにくいとされています。

 

そのため車を運転する職業の方は、

眠気が少ないクラリチンかアレグラが良いと思います。

 

車の運転に関する注意の記載が添付文書にないのも、

抗ヒスタミン薬ではこの2つのお薬だけになります。

 

副作用による眠気の強さは、

脳内にお薬がどれくらい移行するかで差が出てきます。

 

このことを脳内ヒスタミン受容体占有率といいます。

クラリチンは脳内ヒスタミン受容体占有率が11%前後と報告されています。

中央に位置する抗ヒスタミン薬の中で一番占有率が高いのは、

ジルテックの23%です。

 

それでも第一世代と比べると抑えられており、

第一世代の中で最も脳内ヒスタミン受容体占有率が少ない

ポララミンでも50%を超えています。

 

第二世代がいかに眠気が抑えられているかがわかるかと思います。

(※右上に位置するザジテン・レミカット・セルテクトは50%を超えていて、

第一世代と第二世代の中間のようなお薬です)

 

しかしこれは一般論であって、

人によって眠気が出るか出ないかは全く違います。

 

それぞれのお薬の臨床試験での眠気の頻度をみてみましょう。

眠気が少ない順に並べてみると以下のようになります。

 

  • クラリチン:0.7%(52例/7049例中)
  • アレジオン:1.2%(102例/8443例中)
  • タリオン:1.3%(59例/4453例中)
  • エバステル:1.7%(146例/8349例中)
  • アレグラ:2.3%(158例/6809例中)
  • ザイザル:5.2%(67例/1292例中)
  • ジルテック:6.0%(84例/1396例中)
  • アレロック:7.0%(674例/9620例中)

 

お薬によって臨床試験が行われている状況が違うので、

この結果から比較することはできません。

 

しかしながら、クラリチンはこの中でも

眠気の副作用の報告はもっとも少なくなっています。

 

それでは、クラリチンで眠気が認められた場合は

どうすればよいでしょうか?

 

その方法としては大きく3つあります。

  1. 何とかなるならば慣れるのを待つ
  2. 他の抗ヒスタミン薬を試す
  3. 抗ヒスタミン薬以外の薬を使う

 

抗ヒスタミン作用による眠気は、

時間と共に慣れていく部分があります。

ですから、何とかなる眠気でしたら1~2週間我慢して様子を見るのも方法です。

 

眠気が生活に支障がある場合は、

他の抗ヒスタミン薬に変更することも検討します。

 

眠気の感じ方には個人差があります。

クラリチン・アレグラが

一般的には眠気の副作用が弱いといわれていますが、

効果も弱くなってしまう可能性があります。

症状が強い人はエバステル・ザイザル・タリオンなどに変えるのも良いと思います。

 

どうしても抗ヒスタミン薬で眠気が出てきてしまう方は、

抗ヒスタミン薬の内服にこだわる必要はありません。

 

内服は確かに目と鼻の両方に効くので便利ではありますが、

眠気が気になるのであれば

ステロイド点鼻薬や抗ヒスタミンの点眼薬という

局所の治療に切り替えることもできます。

点鼻薬や点眼薬なら眠気の副作用はまず認められません。

 

内服薬でもロイコトリエン拮抗薬(商品名:オノン・シングレア・キプレス)や

Th2サイトカイン阻害薬 (商品名:アイピーディー)といったものがあるので、

試してみると良いかもしれません。

 

4.クラリチンの副作用-太る

クラリチンの副作用で体重が太ったという報告はありません。

 

若い女性の気になる副作用として、

「太る」ということがあげられます。

クラリチンで太ってしまうのでは?と心配される方もいらっしゃいます。

 

インターネットなどで調べると、

「抗ヒスタミン薬は太る」といった情報があふれているためです。

 

確かに抗ヒスタミン薬は食欲が増加する副作用があります。

しかしながらその抗ヒスタミン作用とは、

中枢神経での抗ヒスタミン作用です。

 

花粉症治療に使われる抗ヒスタミン薬は、

中枢神経には作用しないようになっています。

特に第二世代抗ヒスタミン薬は、その特徴が顕著です。

 

クラリチンは脳内にお薬が移行しにくいので、

中枢神経である脳への作用が非常に少ないです。

このため、食欲増加などの副作用はほとんど認められません。

 

実際にクラリチンの添付文書でも、

体重増加は書かれていません。

 

他の第二世代の抗ヒスタミン薬でも、

0.1%以下の頻度となっています。

 

さらに脳への移行が多い第一世代でも、

副作用の添付に体重増加が書かれているものはほとんどありません。

このように見ていくと、

クラリチンを内服して太る心配はしなくてよいと考えられます。

 

クラリチンがよく使われる花粉症の時期は、

別れと出会いで歓送迎会が多い季節です。

そういった時に食べすぎない、飲みすぎないように

気を付けたほうが大切かと思います。

 

5.クラリチンの飲み合わせで問題になるものは?

エリスロマイシン・シメチジンでは

相互作用でクラリチンの血中濃度が高まってしまいます。

風邪薬などの抗ヒスタミン成分が含まれるお薬にも注意が必要です。

 

クラリチンは併用していけないものはありませんが、

注意を要するものとして、

エリスロマイシン(抗菌薬)とシメチジン(胃酸分泌を抑える薬)が挙げられています。

 

これらの薬は、

クラリチンを体内で代謝する酵素の働きを抑えてしまうことで、

クラリチンの血中濃度が上がってしまうと記載されています。

 

ほかに、風邪薬には抗ヒスタミン薬が含まれるものがあり注意が必要です。

風邪をひいたときに鼻水がでて苦しむこともあると思います。

 

実は、鼻水を止める作用がある薬は数少ないのです。

そのため鼻炎症状を抑えるために

風邪薬には抗ヒスタミン薬が含まれてることが多いのです。

 

例えば感冒の時多く出されるPL顆粒には、

メチレンジサリチル酸プロメタジンという

抗ヒスタミン薬が使用されています。

 

他にも市販薬の風邪薬には、

 

  • ジフェニルピラリン塩酸塩
  • クレマスチンフマル酸塩
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩

 

といった抗ヒスタミン薬が加えられています。

 

具体的に使用されている市販薬は、

 

  • プレコール
  • コルゲンコーワ
  • ルル
  • コンタック
  • ベンザブロック
  • エスタック

 

などがあります。

 

しかしながらこの抗ヒスタミン薬は、

クラリチンの主成分であるロラタジンとは違ったものです。

 

人間の体は複雑ですので、

違った抗ヒスタミン薬を一緒に摂取したからといって、

効果や副作用が足し算や掛け算のように倍増するものではありません。

 

しかしながら、

「クラリチン内服中に風邪薬を飲んでも眠くならないか?」というのは

また別問題です。

 

そもそも感冒薬単体に含まれている

抗ヒスタミン薬で眠くなる人もいるでしょう。

 

また重度の風邪をひいてる人は、

体力が消耗されてそれだけで眠くなる人もいます。

風邪薬は風邪の症状を和らげる効果はありますが、

風邪を早く治すものではありません。

 

クラリチンと風邪薬の組み合わせで眠気を心配する人は、

薬の飲み合わせの前に風邪の治療をしっかりと考えてみてください。

 

  • 風邪の症状が軽症であれば、
    感冒薬をそもそも飲む必要がない。
  • 風邪の症状が重症であれば、
    体力の消耗自体で眠気が出ることが予想されるので、
    クラリチンを飲む飲まないに関わらず安静にすること。

 

6.クラリチン内服中にアルコールはいいの?

アルコールを摂取することで

クラリチンの効果が落ちることはないですが、

アルコールを摂取しすぎると花粉症自体が悪化することがあります。

 

飲み合わせで注意がなければ

クラリチンとアルコールも問題ないのか気になる方もいるかと思います。

 

特に花粉症シーズンは

出会いや別れの多い季節で送迎会が多い季節です。

飲み会が多い中、

クラリチンを飲みながらお酒を飲んでもよいのか気になるところですね。

 

アルコールについては、

添付文書には注意の記載がありません。

 

クラリチンを内服後に

アルコールを摂取したからといって

効果が大きくかわることはありません。

ただしアルコールを飲みすぎると、

花粉症のアレルギー症状が強くなることがあります。

 

アルコールの血管拡張作用によって、

目の充血やかゆみ、鼻づまりやかゆみが悪化することがあります。

 

その結果として

クラリチンの効果が感じなくなる可能性はありますので、

アルコールの飲みすぎには注意が必要です。

 

まとめ

  • クラリチンは、
    抗ヒスタミン薬の中では副作用の眠気がもっとも少ないとされるお薬です。
  • クラリチンではエリスロマイシンとシメチジンの併用は注意しましょう。
    ほか、風邪薬とアルコールに気を付けてください。

 

 

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