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病気が治らず障害になると受け取れる「障害年金」のポイント

2018/04/21

 

*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。

 

病気が治らず障害になると受け取れる「障害年金」のポイント

 

障害年金とは、

病気のせいで仕事をして生計をたてていくことが困難な方に対して、

障害の程度に応じてサポートしていく制度です。

 

障害年金には、

障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。

病気になった時点で国民年金と厚生年金のどちらに加入していたかで、

どちらの制度になるかが判断されます。

 

加入している期間に病気やケガになってしまい、

それが1年半たっても続いている場合、

その程度に応じて生活をサポートしていくために年金が支給されます。

 

障害年金は支給される金額も大きく、

判定には時間がかかります。

昨今の年金財政の厳しさから、

障害認定の判定も厳しくなっている印象があります。

とくに精神疾患の場合、

その明確な判断がないために難しさがあります。

 

ここでは、おもに精神の障害(知的障害を含め)で

障害年金を受給する場合についてお伝えしていきたいと思います。

 

障害年金医師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.「病気」と「障害」とは?
  傷病手当金と障害年金とは?

1年半という時間で区切って、

それ以上たっても病気によって

生活に支障がある時に障害となります。

 

病気の期間は傷病手当金が支給され、

障害となると障害年金が支給されます。

 

まずはじめに、「病気」と「障害」という言葉の意味を

考えていきたいと思います。

 

多くの方がイメージしていることとしては、

「病気は治るもので障害は治らないもの」といった

健保組合意味合いでしょうか。

 

このように解釈している方が多いので、

「障害」という言葉を非常に重たく感じる方が多いです。

 

本来はそのような意味で使うべきですし、

障害年金の申請をするときには、

「病気が固定した=障害」ということを書いていきます。

それではどこで病気が固定したと判断するかというと、

1年半という時間と医師の判断になります。

 

しかしながら実務の世界では、

障害年金は柔軟に運用されています。

 

お金がなければ、

患者さんも安心して療養することができなくなります。

例えば仕事をしている方の場合、

会社を休むと傷病手当金が支給されます。

傷病手当金は健保組合からでていて、

病気を治すための生活費を保障してくれるのです。

 

傷病手当金が支給される期間は1年半になります。

障害年金は、傷病手当金の支給期間を超えても

仕事にもどれるほどには回復していない時に申請します。

 

このような意味では、

障害は「治るまでに時間を要するもの」といった認識になります。

 

2.障害年金の受給条件

障害年金は手続きが煩雑なので、

初診日と年金の納付状況を確認してから申請しましょう。

 

障害年金は、いろいろな受給条件があります。

障害年金の申請のために必要な書類は多いので、

まずは障害年金の受給条件をしっかりと確認しましょう。

 

  • 国民年金や厚生年金に加入している間に病院の初診日があること
  • 障害等級表に該当する障害の状態にあること
  • 障害認定日を迎えていること
  • 保険料の納付用件を満たしていること

 

まず最初に、年金にちゃんと加入しているかどうかです。

年金に入っていなければ、当然ながら受給資格はありません。

20歳前や60~65歳未満の方の場合は、

その期間に初診日がある場合でも大丈夫です。

 

障害の状態にある必要もあります。

そのことを証明するためには、

障害年金の診断書を医師に書いてもらう必要があります。

 

そして障害認定日を迎えている必要もあります。

この点については後ほど詳しくお伝えします。

 

最後に、保険料をちゃんと収めていることも必要になります。

その要件としては、以下の2つのどちらかを満たす必要があります。

 

1、病気になった月(初診日のある月)の前々月までの公的年金加入期間の、
  3分の2以上の期間について保険料が納付されていること
  (納付免除も含みます)

 

2、初診日において65歳未満であり、
  病気になった月(初診日のある月)の前々月までの1年間で未納がないこと

 

未成年の時点で病気になってしまった方は、

保険料納付用件は特にありません。

 

その代りに、収入が一定以上ある場合に所得制限があります。

1人世帯(扶養なし)の場合、

年間所得が3,604,000円を超える場合に半額となり、

4,621,000円を超える場合には全額が停止になります。

 

※ただし、20歳前に厚生年金に加入している状態で
 初診日がある人は納付用件が発生します。

 

3.障害年金の支給額はどれくらい?

国民年金の障害基礎年金に比べると、

厚生年金の障害厚生年金は手厚いです。

 

一般的な配偶者のいる労働者では、

80~90万ほどの違いがあります。

また障害厚生年金では3級があるのに対し、

障害基礎年金ではありません。

 

障害年金には、2つの種類があります。

国民年金加入者に支給される障害基礎年金と、

厚生年金加入者に支給される障害厚生年金になります。

 

国民年金は、自営業をされている方や

農林水産業をされている方に対しての年金制度です。

厚生年金とは、雇用されている方に対しての年金制度です。

 

それでは実際にみてみましょう。

 

<国民年金(年額)>

  • 障害基礎年金1級:975,100円+子の加算
  • 障害基礎年金2級:780,100円+子の加算

 

※子の加算は第2子まで各224,500円、第3子以降各74,800円です。

この場合の子とは、18歳になる年度の末日(3月31日)を経過していない子、

あるいは20歳未満で障害等級1級か2級の子を指します。

 

<厚生年金(年額)>

  • 障害厚生年金1級:基礎年金1級分+報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額
  • 障害厚生年金2級:基礎年金2級分+報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額
  • 障害厚生年金3級:報酬比例の年金額(最低保証585,100円)

 

※3級には最低保証額があるので、

1級や2級の報酬比例額が3級の585,100円より少ない可能性もあります。

 

※配偶者の加給年金は厚生年金のみで、額は224,500円です。

厚生年金の方が保険料は労使折半(会社と従業員が半分ずつ)となっているので、

その分年金の支給額も多いです。

報酬比例額と配偶者加給年金がプラスされるのです。

 

さらに厚生年金では、

国民年金にはない障害3級での支給があります。

これは大きな違いになります。

 

報酬比例の年金額に関しては、計算式はとても複雑です。

報酬月額と被保険者期間の日数に比例します。

被保険者期間については、

どんなに短い方でも300か月(25年間)加入していたとみなして

計算してくれます。

若くして障害になってしまう方もいらっしゃるからです。

 

報酬比例の年金額は、

標準報酬月額40万ほどの方ですと最低で65万ほどになります。

配偶者がいる一般的な労働者の方ですと、

基礎年金に80~90万円加えた額が目安になるかと思います。

 

4.障害年金の等級はどのように決まるのか

おおよその生活への支障の大きさで決まります。

医師の診断書を含めた提出書類を元に、

審査する医師が判断します。

 

さて、気になるのは障害年金の等級に関してです。

障害者の等級に関しては、

それぞれの疾患に関して目安が示されています。

 

どの病気に関しても、およそ以下のような目安になっています。

  • 障害年金1級:寝たきり
  • 障害年金2級:日常生活に支障がある
  • 障害年金3級:社会生活に支障がある

 

精神疾患の場合は、以下の6つの疾患に関して障害年金が考慮されます。

  • 統合失調症
  • 気分障害
  • 症状性・器質性精神障害
  • てんかん
  • 知的障害
  • 発達障害

 

これらの病気で、生活への支障の大きさで判断していきます。

どの等級に認定されるかは、医師の診断書の書き方にもよります。

 

診断書の裏面に日常生活能力の程度を記載するところがありますが、

ここが大きなインパクトを持っています。

 

提出された診断書を含めた書類をもとに、

認定医と呼ばれる審査をする医師が判断しています。

 

審査の厳しさには地域性や認定医によってもばらつきがあり、

統一した基準をもうけられないかということが現在議論されています。

 

5.障害年金の障害認定日とは?

初診日から1年半を原則としています。

最大5年間は過去にさかのぼって申請できるので、

障害年金の申請はあせらずに一番よいタイミングを見計らいましょう。

 

初診日時点で20歳を迎えている方は、

初診日から1年半経過した日を障害認定日といいます。

この日を迎えていることが、

年金の受給要件の一つにもなっています。

 

いくつか例を挙げて、具体的にみていきましょう。

 

例①:初診日時点で20歳以上の方の場合

 

障害年金の認定日について①

 

 

 

 

このように、シンプルに初診日から1年半後が障害認定日となります。

しかし初診日時点では20歳未満だった方については、

少し認定日がややこしくなります。

該当する方だけ確認してみてください。

 

18歳6か月未満で初診した場合は、

20歳の誕生日の前日が認定日になります。

 

初診日から1年半以上たってからになります。

18歳6か月をすぎて初診した場合は、

1年半がたつ前に20歳の誕生日を迎えてしまいます。

この場合は、初診日から1年半たった日を認定日とします。

 

例②:18歳6か月未満で初診した場合(20歳の誕生日:平成27年12月2日)

 

障害年金の認定日について②

 

 

 

 

 

 

例③:18歳6か月~20歳未満で初診した場合(20歳の誕生日:平成27年6月2日)

 

障害年金の認定日について③

 

 

 

 

 

また、中には障害年金の制度を知らなかったり、

申請を迷っていたなどの事情で

認定日を迎えてからも

すぐに申請をしないで何年も経過してしまう方もいます。

 

そのような場合は、過去5年を最大として、

認定日まで遡って受給しそびれていた期間の年金を請求することができます。

これを障害年金の「遡及請求」と言います。

 

ですから、障害年金を焦って申請する必要はありません。

一番適切な時期に医師と相談して申請しましょう。

 

遡及請求をすることで、まとまったお金が入ります。

この機会を有効に生かせば、生活の立て直しができることもあります。

 

6.障害年金の必要書類

診断書と受診状況等証明書は、

医療機関に記載をお願いする必要があります。

障害年金の診断書は、1通1万円ほどになります。

 

障害年金を申請するにあたっての必要書類は、

年金事務所等で受け取ることができます。

 

その中でも医療機関に記載をお願いする必要があるのが、

診断書と受診状況等証明書、

また自身で自らの病状等について記載する必要があるのが

病歴・就労状況等申立書です。

 

医療機関に書類の記載をお願いする際は、

事前にその旨を連絡して相談しておくとスムーズです。

他の書類は基本的には形式的な事柄の記入が中心になっています。

 

以下、診断書、受診状況等証明書、

病歴・就労状況等申立書について説明します。

 

①障害年金の診断書

現在の主治医に、自身の状態について記載してもらいます。

障害年金の診断書は、とても記載する事項が多いです。

カルテを見返しながらまとめていかなければならず、

かなりの時間を取られてしまいます。

 

このため診断書代が高くなってしまいます。

1通1万円ほどのところが多いかと思います。

全額自己負担になります。

 

診断書に関しては、

障害認定日から1年以内であれば1通で大丈夫です。

認定日から3か月以内の症状について

主治医に記載してもらった診断書だけになります。

 

20歳前に初診日がある場合は、

障害認定日の前後3か月以内の症状を記載した診断書でも大丈夫です。

 

認定日から1年以上経過している場合は、

2通の診断書が必要になります。

 

認定日から3か月以内の症状の診断書だけでなく、

現在の症状の診断書が必要になるのです。

 

しかし障害認定日から年月が経ってしまっていると、

当時のカルテが残っていなかったり、

医療機関がつぶれてしまっていたりすることもあります。

その場合、認定日の診断書が用意できないという事態が起こり得ます。

 

そのような場合は、現在の症状の診断書1枚で年金請求することになります。

しかしその場合は、認定日時点での診断書がないので遡及請求はできません。

 

整理すると、以下のようになります。

 

  • 認定日から1年以内で申請する場合:
    認定日から3か月以内の症状の診断書1枚(20歳前初診の場合は前後3か月以内)

 

  • 認定日から1年以上経過して申請する場合:
    認定日から3か月以内の症状の診断書1枚
    (これは無くても請求可。しかし遡及請求はできない)と現在の症状の診断書1枚

 

②受診状況等証明書

初診日がある医療機関に記載してもらいます。

 

しかし、カルテが残っていなかったり

医療機関がつぶれてしまっていたりする場合、

「受診状況等証明書を添付できない申立書」という書類を

自身で記載する必要があります(書類は年金事務所で貰えます)。

 

そして初診日がある医療機関の次にかかった医療機関で、

受診状況等証明書を記載してもらう形になります。

 

もしそこでも記載ができなければ、

同じ申立書を自身で記載してまた次の医療機関に…と、

受診状況等証明書がとれるまで辿って行く流れになります。

 

例を挙げてご説明します。

 

初診がA病院(平成26年4月1日が初診日)で、
以降、B病院とC病院に通院歴がある方で、
A病院とB病院ではカルテが残っていなく受診状況等証明書がとれなかった場合

 

障害年金の申請に関しての注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場合は、

3か所目のC病院で受診状況等証明書をとることになります。

 

しかしどこで証明書をとれても、

請求する際の「初診日」は平成26年4月1日で変わりありません。

 

障害年金の申請において、初診日の確定はとても重要です。

初診日の医療機関で受診状況等証明書がとれなかった場合、

他の証拠を可能な限り沢山添付して、

その初診日が正しいことを証明することが大切になります。

 

例えば証拠になり得るものとしては、

  • 障害者手帳申請時の診断書
  • 保険申請時の診断書
  • 日付入りの当時の診察券やお薬手帳
  • 健康診断の記録
  • 病院からの紹介状
  • レセプトを含む健康保険の給付記録
  • その他記録(レシートや家計簿、当時の日記など)

などが考えられます。

 

③病歴・就労状況等申立書

発病時から現在までの自身の体調や

生活、就労能力等について記載する書類です。

 

医師の診断書は

基本的にカルテに残っている内容に沿って記載されますが、

この申し立て書は本人の主張が反映されるものとなっています。

 

よって、より具体的に自らの状態を記載し、

それによって起きた生活上の影響についても記載することが大切です。

 

例えば「調子が悪かった」ことを記載する場合には、

どう調子が悪かったか

(体が重い・気持ちが落ち込む・過呼吸を起こしてしまう・

~という幻聴が聴こえる等…)と、

それによる生活上の影響

(公共交通機関に乗れなくなった・布団から出られず引きこもりがちになってしまった・

学校や仕事に行けなくなり退学や退職・休職することになった等…)を

注意して記載することが大切です。

 

7.知的障害(精神遅滞)で
  障害年金申請をする場合

生まれもっての障害と考えるため、

20歳の誕生日の前日から障害認定されます。

 

知的障害(精神遅滞)の場合、

もともと生まれもっての障害であると考えられます。

 

このため20歳前に初診日があってもなくても、

障害認定日は20歳の誕生日の前日になります。

そのため、年金の納付用件は発生しません。

 

障害年金の申請の際には、

可能ならば療育手帳の写しや、

学生時の通知表などの資料を添付するとよりスムーズです。

 

病歴・就労状況等申立書を記載する場合には、

出生時から現在までのことを記載します。

 

その際、知的障害があるために周囲と比べて苦手にしていることや、

それにより起きた生活上の影響等を中心に書いていくことが大切になります。

(例えば学生時代の勉強の遅れなど)

 

その他は基本的に、

通常の精神疾患の場合と同じように申請を進めていく形になります。

 

まとめ

実務上は1年半という時間で区切って、

それ以上たっても病気によって

生活に支障がある時に障害となります。

 

病気の期間は傷病手当金が支給され、

障害となると障害年金が支給されます。

 

申請する前に、障害年金の受給要件を満たしているかを調べましょう。

障害年金の申請をサポートする

社会保険労務士サービスなどがありますが、

病院のソーシャルワーカーに

無料でサポートしてもらえることが多いです。

年金事務所でも相談にのってくれます。

 

 

 

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