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100%フルーツジュースはヘルシー?上手なジュースの飲ませ方

2018/05/26

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

医師 森田麻里子

2018年5月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

医師子育てフルーツジュース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーパーやドラッグストアでは、

5か月から、1歳から、など表示された

乳児・幼児用のジュースがよく売られていますね。

 

そういうのを見ていると、

5ヶ月になったら、1歳になったら、

飲ませたほうがいいのかな?とつい思ってしまいますが、

全然そんなことはありません!

 

確かに2007年度までは、

母子手帳の保護者の記録の生後3〜4か月の欄にも

「薄めた果汁やスープを飲ませていますか」という記述がありました。

 

そのため、古い育児書の中には、

お風呂上がりに果汁を飲ませるのを勧めているものもあります。

しかし、それはもう過去の話です。


実は、アメリカ小児学会は現在、

1歳までの乳児にジュースを与えることを勧めないと明言しています。(1)

 

これは、果汁100%のジュースであっても同じです。

ジュースは、果物そのものに含まれている

繊維質が取り除かれてしまっていて、

果物よりも急激に糖分が吸収されてしまうという特徴があります。

 

ジュースは虫歯の原因になるほか、

栄養過多や、逆に栄養不足を引き起こす場合もあるというのです。

 

1997年には、1歳半から4歳半まで、

1,675人のイギリスの子どもの栄養調査を解析した論文が発表されました。

 

砂糖やはちみつ、フルーツジュースの摂取量が多い子どもは、

鉄や亜鉛、ビタミンDが不足する傾向にあり、

特にエネルギーの24%以上をそうした糖分から摂取している子どもたちは、

鉄と亜鉛が必要量を下回っていることがわかりました。(2) 

 

鉄分不足は貧血を引き起こし、

神経系の発達にも影響します。

 

亜鉛も免疫システムや傷の治りに関係する重要な栄養素ですが、

いずれも乳幼児で不足しやすい栄養素です。

 

お菓子やジュースの摂取量が多い子は、

牛乳や肉、パン、野菜の摂取量が少なくなっており、

それが原因で鉄・亜鉛不足になっていたと考えられています。


また、1994年には、アメリカの研究者が、

フルーツジュースの飲み過ぎで成長障害を引き起こした、

1〜2歳の子ども8人の症例を報告しています。(3)

 

最も量が多かった子は、

1日に850mlものジュースを飲んでいたそうです。

 

成長障害の原因は、

タンパク質や脂肪、

その他の栄養素の摂取不足になっていたことで、

食事を改善することで体重も増えるようになりました。

 

ジュースを与えることが絶対にダメというわけではありませんが、

ジュースはヘルシーな飲み物ではありません。

 

嗜好品の一つとして考え、

飲ませすぎないようにするのが良さそうです。

 

生後6ヶ月頃になって果物を食べさせたいときは、

ジュースではなく果物をつぶして、

繊維質を含んだ果肉ごと与えましょう。

 

1歳を過ぎて、

どうしてもジュースを与えたい場合は、

例えば食事で外出したとき、

お友だちの家に遊びに行った時など、

特別な日に1日110ミリリットル(4オンス)以下の量を

与えるようにしましょう。

 

アメリカ小児学会の提言では、

ジュースはコップで飲ませることが勧められています。

 

哺乳瓶や蓋つきのストローマグなどに入れて

ジュースを持ち歩くことは、

日常的に水分補給としてちょこちょこ飲むことにつながり、

虫歯の原因になるというのが理由のようです。

 

ストローマグだと110ミリリットルくらい、

あっという間に飲み干してしまう子も多いかもしれません。

 

水分補給は水か麦茶にして、

ジュースはおやつなど、

決まった時間にコップで少量飲むくらいが

ちょうどいいということですね。

 

また、ソーダ類やフルーツ飲料、甘い紅茶など、

砂糖の入った飲み物はさらに避けた方が良いでしょう。

 

乳児期に砂糖の入った飲み物を飲ませると、

6歳の時点での肥満が増えたという研究や、

虫歯が増えたという研究もあります。

 

例外として、砂糖の入った飲み物が勧められているのは、

胃腸炎のときです。

 

下痢や嘔吐があるときの水分補給としては

経口補水液が良いと言われています。

 

フルーツジュースはナトリウムが少なく、

種類や飲む量によっては糖分が吸収しきれないことがあります。

 

吸収されなかった糖分が大腸で発酵されてガスを発生させたり、

下痢を引き起こすかもしれません。

この原理を逆手に取って、

フルーツジュースを便秘の治療に使う場合もあるようです。

 

しかし、最近では、軽度の脱水であれば、

経口補水液よりもりんごジュースを水で倍に薄めたものが

優れているという研究結果もあります。

 

カナダのカルガリー大学では、

2010年から2015年にかけて、

6か月から5歳の子ども648人を対象に研究が行われました。

 

胃腸炎でごく軽度の脱水のある子どもを2グループに分け、

一方のグループでは経口補水液だけを水分補給に使うようにし、

もう一方のグループでは倍に薄めたりんごジュースをまず飲ませ、

退院後は好きなものを飲ませるようにしました。

 

すると、再受診や点滴などが必要になった割合は、

経口補水液のグループが25%、

りんごジュースと好きな飲み物のグループが16.7%で、

りんごジュースと好きな飲み物グループの方が優れていたのです。

この傾向は、特に2歳以上の子どもで強いことがわかりました。

 

この論文のメッセージは、

りんごジュースが優れているということではありません。

 

軽度の脱水であれば、

飲めるものを飲むことが大切だということです。

 

経口補水液を飲めるのであれば

それに越したことはありませんが、

大人でもあの薄しょっぱい味が

苦手という方はいらっしゃるのではないでしょうか?

 

ジュースに含まれる糖分の種類を考えると、

りんごや梨、プルーンジュースは

下痢を起こしやすいタイプのジュースですが、

この研究ではりんごジュースで問題ないという結果になっています。

 

りんごに限らずオレンジジュースでもぶどうジュースでも良いと思います。

経口補水液をあまり飲まない場合には、

ジュースを倍に薄めて飲ませてみるのを試してみてください。

 


1.Heyman MB, Abrams SA, Section On Gastroenterology H, Nutrition, Committee On N. Fruit Juice in Infants, Children, and Adolescents: Current Recommendations. Pediatrics. 2017;139(6).


2.Gibson SA. Non-milk extrinsic sugars in the diets of pre-school children: association with intakes of micronutrients, energy, fat and NSP. Br J Nutr. 1997;78(3):367-78.


3.Smith MM, Lifshitz F. Excess fruit juice consumption as a contributing factor in nonorganic failure to thrive. Pediatrics. 1994;93(3):438-43.

 

 

 

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