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夏バテに効果のある漢方薬とは?病院での夏バテの治療と漢方薬

2018/07/22

 

*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。

 

夏バテに効果のある漢方薬とは?病院での夏バテの治療と漢方薬

 

夏バテは、ほとんどの方が程度の違いはあっても

経験したことがあるかと思います。

 

夏になって暑くなってくると、体がだるくなったり、

食欲がなくなってしまったりします。

 

そういった、夏期の高温多湿のために起こる

不快な症状のことを夏バテといいます。

 

夏バテは正式な病名というわけではなく、

その原因は様々になります。

 

なかには脱水傾向がすすんでいて、

熱中症の前段階であるようなこともあります。

 

西洋医学の世界では、

夏バテに対してはこのような脱水の有無をみていきます。

脱水があれば治療をしていきますが、

そうでなければなかなか打つ手がなくなります。

 

そんな中、東洋医学の世界では体のバランスを整えることで、

夏バテが悪化していくのを防げることがあります。

 

病院では、漢方専門の先生のように

細かく診察して処方することはできません。

ですが病院では、保険適応で漢方薬を使えるので安価になります。

経口補水液

 

ここでは、病院での夏バテで使われる

漢方薬について詳しくお伝えしていきます。

 

東洋医学漢方薬夏バテ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.夏バテの病院での治療とは?

脱水があるかどうかに注意していきます。

脱水があれば、補液をしていきます。

 

食事が十分にとれていないときには、

ビタミンを補充することで疲労感が軽減することがあります。

 

夏バテで困って病院にくる患者さんはほとんどいません。

多くは他の病気で通院されていて、

夏になって体調が悪くなって相談されることが多いです。

 

このような相談をうけたときに、

まずはじめに考えるのが「脱水」があるかどうかです。

特に高齢者では暑さに対する体温調節が鈍っていて、

知らず知らずに「かくれ脱水」がすすんでいることもあります。

 

脱水が認められるときには、

補液をするというのが治療法になります。

 

自分で飲める状況であれば、

口から水分補給をしていただきます。

スポーツドリンクや経口補水液としてOS-1などが発売されています。

 

自分で水分をとるのが難しい場合や

早く症状を改善したい場合は、

点滴によって補益していきます。

 

生理食塩水や細胞外液とよばれるような、

血液の組成に似た点滴をしていきます。

 

食欲が低下していて食事が十分にとれていない方に対しては、

ビタミン剤を処方することもあります。

 

ただし、普通に食事がとれている人では

ビタミンが不足することはまずないので、

サプリメントなどで補充する必要もないでしょう。

 

慢性疲労には、ビタミンB・C群の効果が多少期待できます。

  • ビタミンB:ビタメジン・アリナミンF・ノイロビタンなど
  • ビタミンC:シナール

 

ビタミンは、身体の中で補酵素として働きます。

様々な身体の機能の手助けをしていて、

エネルギーを作り出す代謝においても重要な働きをします。

 

このためビタミンを補充することで、

疲労感が軽減することがあります。

 

2.病院での夏バテでの漢方薬の実際

病院では、症状に効果が期待できる漢方薬の中で、

体質が合いそうなものを選んで処方しているというのが実情です。

 

私たち医者は、

漢方医学については学ぶ機会がほとんどありません。

医者となってから、

興味がある人が漢方薬を少しずつ学んでいくというのが実情です。

 

とはいっても、漢方医の先生のように四診という身体診察を丁寧に行い、

漢方薬を選んでいく医者はほとんどいません。

あくまで症状に合わせて漢方薬を処方しているというのが実情です。

 

漢方薬は本来、症状に合わせて使うものではありません。

患者さん一人ひとりの身体の状態を見極めて、

体格や体質、身体の抵抗力やバランスの崩れ方などにあわせて

適切な漢方薬を処方していきます。

 

それならば漢方医のもとで

治療を受けた方がよいのではないでしょうか?

 

私もそう思います。

ですが漢方医は、そのほとんどが自費での診察になってしまうのです。

病院では保険適応で漢方が使えますので、

経済的な負担が大きく異なります。

 

病院で漢方を得意としている医者の多くは、

「この症状にはこの漢方薬」という選択肢を

たくさんもっているレベルであることが多いです。

 

私自身もこのレベルにすぎません。

症状に効果が期待できる漢方薬の中で、

体質が合いそうなものを選んで処方しているというのが実情です。

 

医者が参考にする薬の本をみても、

「陰陽」と「虚実」しかのっていません。

 

陰陽は身体全体の反応が活動的かどうかをみて、

虚実は身体の抵抗力や病気の勢いをみます。

 

つまり病院では、以下の2点をみています。

  • 体質が強いかどうか
  • 病気への反応が強いかどうか

 

もう少し踏み込んだ先生だと、

「気血水」という3つの要素にわけて病気の原因を考えていきます。

これによって身体のバランスの崩れ方を見極めて、

適切な漢方薬を選んでいきます。

 

3.漢方からみた夏バテの原因

漢方では夏バテの原因を、

気虚・血虚や津虚・水毒などの3つの病態に分けて考えていきます。

 

それでは、漢方からみた夏バテの原因をみていきましょう。

気・血・水の3つの要素で見た時に、

夏バテには大きく3つの病態があると考えられています。

 

  • 気虚(陽虚):あたためる力が不足した状態
  • 血虚・津虚(陰虚):冷やす力が不足してしまってほてりやすくなった状態
  • 水毒:水分のめぐりが悪くなっている状態

 

気虚とは、暑さによって元気がなくなってしまって、

疲労がたまってしまっている状態です。

 

暑さによって「気」が消耗してしまって、

元気がなくなってしまいます。

汗と一緒に気を失うことも多く、

津虚の状態になっていることも多いです。

 

血虚・津虚は、いわゆる脱水の状態です。

発汗することで体内の水分が失われて、

口が渇いて皮膚が乾燥します。

 

このような状態になると汗をかくことができなくなり、

熱を逃がせずに身体にこもりやすくなってしまいます。

 

水毒とは、自律神経のバランスが崩れてしまったり、

冷たいものの取り過ぎなどによって生じます。

 

これによって胃腸の働きが悪くなり、

水分が上手くめぐらなくなってしまいます。

 

身体の中に水がたくさんあるのに、

汗として出てこないことが問題となります。

クーラーなどの冷房が広まって現代において、

増えている病態といえます。

 

漢方では、夏は汗の働きを大切にしています。

汗は身体のなかにある水分を皮膚の表面まで引っ張り出します。

 

これによって「水」だけでなく、

「気」や「血」のめぐりをよくする役割をしていると考えます。

 

汗をかくことは熱を発散させるだけでなく、

新陳代謝を高めて身体の機能を高めることにつながります。

 

4.夏バテに効果のある漢方薬とは?

それぞれの病態にあわせて、

体質を大事にしながら漢方薬を使い分けていきます。

 

それでは夏バテにはどのような漢方薬が有効なのか、

順番にご紹介していきます。

 

①清暑益気湯

  • 適応:暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠感・夏やせ
  • 症:陰陽(陰)・虚実(虚)・寒熱(熱)・気血水(気虚・津虚)

 

夏バテの代表的な漢方薬になります。

気と水の両方を補ってくれる作用があるので、

 

夏バテによって体力が低下してしまい、

水分も足りなくなっているような時に向いている漢方薬になります。

 

補中益気湯

  • 適応:消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の諸症
  • 症:陰陽(陰)・虚実(虚)・寒熱(中間)・気血水(気虚)

 

補中益気湯は、気を補う漢方薬です。

気虚の病態での夏バテに向いていて、

体力が低下していて全身倦怠感や食欲不振などが認められる時に使われます。

 

人参湯

  • 適応:消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の諸症
  • 症:陰陽(陰)・虚実(虚)・寒熱(寒)・気血水(気虚)

 

人参湯は体力が弱っている人に向いている漢方薬で、

体をあたためながら気を補う漢方薬です。

 

胃腸の調子を整える作用があるため、

食欲不振や下痢などがみられる患者さんに使われます。

 

人参湯以外の漢方薬にも人参が含まれていますが、

人参には消化器症状を改善する効果があります。

 

夏バテでは食欲低下が認められることが多く、

人参を含む漢方薬がよく使われます。

 

十全大補湯

  • 適応:病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
  • 症:陰陽(陰)・虚実(虚)・寒熱(寒)・気血水(気虚・血虚)

 

十全大補湯は、気血を補う漢方薬です。

体力と気力がなくなってしまっている夏バテの患者さんに使っていく漢方薬です。

体力が低下している人に向いている漢方薬です。

 

人参養栄湯

  • 適応:病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血
  • 症:陰陽(陰)・虚実(虚)・寒熱(寒)・気血水(気虚・血虚)

人参養栄湯は、十全大補湯から派生した処方になります。

十全大補湯に遠志・五味子・陳皮を加え、

川芎を除いた処方になっています。

 

十全大補湯よりも、

さらに効果が強められていて、

体力が低下している人に向いています。

 

六君子湯

  • 適応:胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、
    貧血性で手足が冷えやすいものの諸症
  • 症:陰陽(陰)・虚実(虚)・寒熱(寒)・気血水(気虚)

 

六君子湯は、人参湯に胃腸の機能を整える大棗や

生姜と水分を整える茯苓を加えた四君子湯に、

陳皮と半夏という胃の働きを整える生薬を追加したものです。

 

消化機能を整える働きが強く、

食欲が低下していて気力が弱っている人に向いています。

 

五苓散

  • 適応:口渇、尿量減少するものの諸症
  • 症:陰陽(中間)・虚実(中間)・寒熱(寒)・気血水(水毒)

 

五苓散は、身体の水分循環を改善する代表的な漢方薬です。

余分な水分を身体から排出するだけでなく、

身体全体での水分のバランスの偏りを整えてくれる漢方薬です。

 

水分が上手くめぐらなくなっている水毒の状態を改善するため、

身体がむくんでいたり、下痢をしている患者さんに向いています。

 

⑧真武湯

  • 適応:新陳代謝の沈衰しているものの諸症
  • 症:陰陽(陰)・虚実(虚)・寒熱(寒)・気血水(水毒)

 

真武湯は、代表的な附子剤です。

利水作用が強く、水分の滞りを改善してくれる漢方薬です。

 

また鎮痛作用もあり、痛みも改善してくれます。

水毒の状態を改善してくれるため、

むくみや下痢、めまいが認められる患者さんに向いています。

 

全身倦怠感があって、体に痛みがある患者さんにも向いています。

 

⑨防己黄耆湯

  • 適応:色白で疲れやすく、汗のかきやすい傾向のある次の諸症
    :肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)、関節痛、むくみ
  • 症:陰陽(陰)・虚実(虚)・寒熱(寒)・気血水(水毒)

 

防己黄耆湯は、いわゆる水太りの人によく使われている漢方薬です。

水分のバランスを整える作用があり、

また黄耆が含まれているので体力を補う作用もあります。

 

まとめ

夏バテに関して、

漢方ではどのように見ていくのかをお伝えしてきました。

 

西洋医学とは異なり、

漢方では病態を幅広くとらえる傾向にあります。

 

西洋医学的には脱水の有無というポイントから状態を判断しがちですが、

漢方では身体のバランスの崩れに目を向けていきます。

 

気虚・陰虚・水毒といったそれぞれの病態に合わせて、

患者さんに合った漢方を選択していきます。

 

代表的な処方を参考にしながら、

あなたに合った漢方薬をみつけてください。

 

 

病態 漢方薬
気虚 清暑益気湯・補中益気湯・人参湯・六君子湯
陰虚 十全大補湯人参養栄湯・清暑益気湯・六君子湯
水毒 五苓散・真武湯・防己黄耆湯

 

 

 

 

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