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低い性感染症の認識に危機感

2018/08/07

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

この原稿は医療タイムス6月11日号からの転載です。

山本佳奈

2018年7月10日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

性感染症検査

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「性感染症の検査、受けたことありません。」

 

これは、外来で緊急避妊薬を処方する際に

同世代の女性からよく聞かれる回答の一つだ。

 

性感染症の検査もしてくださいね、と伝えると、

「知らない、受けたことがない」という

女性が多いことに今年の冬に気がついた。

 

同世代の多くの女性の性感染症についての認識の低さに

居ても立っても居られなくなった私は、

自分で発信を始めることにした。

 

今回は、性感染症の現状と私の取り組みについてご紹介したい。

 

2010年以降、

増加傾向にある性感染症の一つである

梅毒が昨年より急増している、との報告が相次いでいる。

 

私が勤務している福島県いわき市で

昨年報告された梅毒患者は26名。

 

福島県内の報告数の約39%を占めていた。

 

なんと、今年は4月末時点で

すでに20人が梅毒に感染したと報告されている。

 

実は、福島県の梅毒患者数は、

東京、大阪に次いで第3位。

2014年以降、急増しているのだ。

 

梅毒だけが性感染症ではない。

日本で最も感染者数の多い性感染症は、

クラミジア感染症の約2万5000人だ。

 

次いで、性器ヘルペスの約9300人、

淋菌感染症の約8100人と続く。

 

だが、これは氷山の一角にすぎない。

 

これら性感染症は症状を自覚しにくいために、

病院を受診していないケースが多いと考えられるからだ。

 

性感染症の原因であるクラミジアや淋菌は、

男女ともに不妊症の原因になる。

 

性感染症の一つであるクラミジア感染症は、

不妊症の原因の2割を占めていると推定している研究者もいる。

 

防ぐには、早期発見・早期治療しかない。

 

性感染症の増加の原因として考えられているのが、

SNSの普及だ。

 

ジョナサン・マーミン博士は、

「現時点では、因果関係は明らかではないが、

Tinderのような出会い系アプリの登場は、

性感染症の原因かもしれない。」と言う。

 

今年の5月1日、Facebook社は、

「出会い」機能の年内追加を発表した。

 

実は、株式会社モニタスの全国2830名を対象とした調査によると、

福島県はFacebookの利用率が47.5%と全国1位であり、

全国平均の33.6%を大きく上回っているという。

 

今後、さらに性感染症の患者数は増加してしまうかもしれない。

SNSの普及と性感染症の関連については、

是非とも調査したいと考えている。

 

実際に、性感染症の検査をしたことがある

女性の割合はどれくらいなのか。

 

疑問に思った私は、

クリニックで緊急避妊薬を処方した女性33名に

「性感染症の検査をしたことがありますか?と聞いてみた。

 

すると、たった9名しか性感染症の検査をしたことがなかった。

中には、性感染症って何ですか、と言う女性や、

性感染症の検査を知らない女性もいた。

 

同世代の女性に性感染症について

伝えないといけないと思った私は、

性感染症についての冊子を自費で作り、

外来で配ることにした。

 

自分のカラダを守るためには、

予防と定期的な検査が大切であることを伝えたかったからだ。

 

冊子は、性感染症だけでなく、

緊急避妊薬や低用量ピル、貧血や

ワクチンなど同世代の女性に伝えたい問題を取り上げ、

展開していきたいと考えている。

 

http://expres.umin.jp/mric/mric_2018_139.pdf

 

 

 

 

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