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熊谷41.1度、東京でも40度超え!熱中症予防に役立つ「暑さ指数」を医師が解説

2018/08/30

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

この原稿はAERA.dot(7月23日配信)からの転載いです。

https://dot.asahi.com/dot/2018072300006.html?page=1

 

森田麻里子

2018年8月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

子供熱中症予防

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、

2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム

「ちょっとだけ医見手帖」。

 

23日に埼玉・熊谷で国内観測史上最高となる41.1度、

また東京・青梅でも40度を超えるなど、

猛烈な暑さが続いている。

 

気になるのは熱中症だが、

今回は、子どもの熱中症予防について、

自身も1児の母である森田麻里子医師が「医見」します。

 

【熱中症最大級の警戒が必要!

 猛烈な暑さとなる名古屋や岐阜の天気はこちら】

 

*  *  *


今年は関東の梅雨明けが異様に早く、

6月からずっと猛暑が続いていますね。

 

子どもの熱中症のニュースも毎日のように報道され、

心が痛みます。

 

実は我が家でも、ひやっとすることがありました。

 

朝から涼しいデパートへお出かけを計画していたのですが、

子どもが早く外に遊びに行きたくて、

出発まで我慢できなくなってしまいました。

 

暑いとはいえまだ朝の時間、

ほんの10分ほど散歩へ連れて行ったのですが、

その後ベビーカーに乗せて移動していても、

いつもより静かでおりこうさん過ぎるのです。

 

ぐったりしているわけではないのですが、

抱っこすると、体がかなり熱くなっていました。

急いで服を脱がせて冷やし、

事なきを得たのですが、気が気ではありませんでした。

 

■熱中症は、気温より湿度の影響

熱中症と言うと、

気温が注目されがちですが、

実は湿度の影響がとても大きいです。

 

体温を下げるのに最も効果的な体のしくみは、

汗をかくことです。

 

かいた汗が蒸発するときに、

体の熱を奪っていき、体温が下がります。

 

しかし、湿度が高いと汗が蒸発しにくいので、

体温を十分に下げることができなくなってしまいます。

 

熱中症のリスクの70%は湿度の影響であり、

20%が輻射熱(地面や建物から受ける熱)、

残りの10%が気温と考えられています。

 

日本の夏は、湿度が80%を超えることも珍しくありません。

 

強い日差しでアスファルトも高温になるこの時期、

いかに熱中症のリスクが高いか、

おわかりいただけると思います。

 

熱中症にならないために、

暑さに慣れておいた方がよい、

ということも良く聞きますね。

 

確かに、「暑熱順化」といって、汗の量が増える、

 

比較的低めの気温から汗をかくようになる、

汗に含まれる電解質の量が減る、のような変化が体に起こるのは事実です。

 

これらの変化により体温を下げやすくはなりますが、

体温が高くても平気になるわけではありません。

 

また、暑熱順化に必要な期間は7~14日程度と言われていますが、

小さい子どもはもっと長くかかる可能性があります。

 

湿度が非常に高く気温も35度近い、

または体温を超えるような状況では、

どんなに上手に水分補給をして、

どんなに上手に汗をかいたとしても、

体温はなかなか下がらないのです。

 

■熱中症予防の指標は「暑さ指数」

熱中症予防のための指標として、

1954年にアメリカで提唱され、

現在は国際基準となっている「暑さ指数」(WBGT)があります。

 

暑さ指数は、単なる気温ではなく、

熱中症のリスクとなる湿度や輻射熱の影響を取り入れた指標です。

 

2004年から07年にかけて、

アメリカで、

大学のフットボール選手の熱中症について行われた調査があります。

 

その結果、暑さ指数が27.8度を超えると、

熱中症のリスクが大きく増すことがわかりました。

 

およその目安としては、

湿度が40%の場合は気温30度でこの基準に達しますが、

湿度が70%なら気温26度で暑さ指数28度に達します。

 

環境庁の「熱中症予防サイト」(http://www.wbgt.env.go.jp/)で、

試しに東京の暑さ指数を調べてみました。

 

子どもの背丈を考えて、

地表から50cmの高さでの指数を見てみると、

例えば7月17日は7時過ぎから18時過ぎまで

厳重警戒レベル(暑さ指数28~31度)を越えており、

特に10時から15時は危険レベル(暑さ指数31度~)に達しています。

 

そもそも日中は外で遊ばないなど、

活動そのものを制限することも必要です。

 

また、暑さ指数がさほど高くない場合も、

スポーツをする際は、

思っている以上にたくさんの水分が必要です。

 

アメリカ小児学会の推奨では、

9~12歳の子どもは20分ごとに100~250ミリリットル、

中高生では1時間ごとに1~1.5リットルの水分補給が必要とされています。

 

古い研究ですが、

1980年にイスラエルの研究者が発表した論文もあります。

 

10~12歳の11人の子どもたちに、

気温39度湿度45%の部屋で自転車こぎ運動をしてもらいました。

 

好きなときに水分補給してもらった場合では、

定期的に水分補給を求めた場合の72%の量しか水分を摂取せず、

1時間あたり体重の0.3%の割合で水分が失われていってしまいました。

 

好きなときに好きなだけ水分補給するのではなく、

上記のような目安をもとに定期的に十分な量の水分、

とくに経口補水液のような電解質を含んだ飲料を飲ませることが必要です。

 

まだまだ暑さは続きそうですが、

児童館やショッピングセンター、室内遊び場などを活用し、

安全に夏を乗り切りましょう。

 

 

◯森田麻里子(もりた・まりこ)
1987年生まれ。東京都出身。医師。

2012年東京大学医学部医学科卒業。

12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。

16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。

17年3月に第一子を出産。

小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

 

 

 

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