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東京医大問題に物申す

2019/01/29

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

この原稿は医療タイムス(9月10日号)の連載“今を生きる”に加筆修正したものです。

山本佳奈

 

2019年1月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

東京医大医局員不足

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先月、東京医大が女子受験生を一律減点し、

恣意的操作を行っていたことが発覚した。

 

官僚の子弟の裏口入学に続いて、

呆れた実態が続々と明らかになり、

今なお世間の注目を集めている前代未聞の問題について物申したいと思う。

 

新聞報道によれば、

女子は結婚や出産で医師をやめるケースが多いために、

一律に減点し、女子の合格者数を3割に前後に抑えていたという。

 

系列の病院で勤務する医局員不足を懸念しての必要悪であり、

暗黙の了解であったそうだ。

 

女性医師として、ひとこと言いたい。

必死に勉強して掴んだ医学部合格と医師免許だ。

結婚や出産で女子はやめると、勝手に決めつけないでほしい。

 

結婚や出産を機に医師をやめる選択をする女性医師がいることも事実だが、

多くの女性医師は職場や働き方を変えながら、医師を続けている。

 

女性の労働力率は、

結婚や出産期に当たる年代に一旦低下し、

育児が落ち着いた頃に再び上昇することが知られている。

 

これを「M字カーブ」といい、

女性医師も例外ではない。

 

平成18年度厚生労働科学研究

「日本の医師需給の実証的調査研究」によると、

女子医師の就業率は、医学部卒業後減少傾向を認め、

卒後11年目(36歳)で76.0%まで落ち込んだ後、再び回復する。

 

東京医大の経営者は「退職」と捉えるが、

医師は続けている。

 

東京医大の経営者は、

自分のところで働く医師にしか関心がないようだ。

 

この点こそ、私は問題の本質だと考える。

 

医学部の入学試験は、

単なる大学入試ではなく、

大学医局への就職試験という側面を持つ。

 

医学部は教育機関であるにも関わらず、

医学部合否の基準に卒後の働き方が入っていること自体おかしいのだが、

大学経営者にとっては、

将来医師として系列病院で働く人を選ぶ採用試験であり、

一律減点や裏口入学は経営者の本音なのだろう。

 

本来、教師は生徒の味方だが、医学部は違う。

 

教授は医局の「経営者」でもあり、

一人でも多くの若手を囲い込むために

色んな理屈をつけて縛り付けている。

 

専門医制度はその一つだ。

 

若手に「専門医」という肩書きをチラつかせ、

医局員として働かせているにすぎない。

 

「専門医」とは何なのか。

 

専門性とは一生かけて取得していくものだ。

数年で取得できるはずがない。

 

まして、学会費を支払い、学会に参加し、

決まった症例数と決まった年数をクリアすれば取得できるなんて、

どう考えてもおかしい。

 

裏口入学もその一つだ。

 

大学の経営者にしてみれば、

裏口入学によって大学で働き続ける医局員を確実に確保することができる。

 

医師になるための切符をあげることは、

経営者にとってお安いご用なのだろう。

 

女子受験生を一律減点し、

恣意的に減らしていたことは、

女子差別であることに間違えはない。

 

だが、問題の本質は、

医学教育という名の下、

大学において入試や専門医の名を語った

医師の囲い込みや就職活動が行われているという現状があることだ。

 

今回の問題を契機に、

医学部の現状にメスが入ることを期待したい。

 

 

 

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