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「梅毒」だけじゃない性感染症 なぜ感染は繰り返されるのか?

2019/02/14

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

この原稿はAERA dot.(10月24日配信)からの転載です

https://dot.asahi.com/dot/2018102300006.html

 

山本佳奈

2019年2月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

性感染症検査

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「性感染症の検査、受けたことはないです…」

 

これは、同世代の女性からよく聞かれる回答です。

私は、緊急避妊薬の処方を希望して

クリニックを受診しにやって来る女性に、

性感染症の検査をしたことがあるかを聞くようにしています。

 

緊急避妊薬を希望するということは、

避妊に失敗した、

または避妊していなかった

(具体的には、避妊具が外れた・破れた、または使用していなかった)

ということ。

 

検査を受けたことがない、

または知らない女性には、

性感染症に感染するリスクがあることはもちろん、

性感染症とはなんぞや、というところから、

検査の必要性についてお伝えするようにしています。

 

最近、日本で梅毒の感染者が昨年より急増している、

という報告やニュースを聞いた人も多いかもしれません。

 

ですが、梅毒だけが性感染症ではありません。

日本で最も感染者数の多い性感染症は、

クラミジア感染症の約2万5000人。

 

次いで、性器ヘルペスの約9千300人、

淋菌感染症の約8千100人と続きます。

 

しかしながら、これは氷山の一角にすぎません。

性感染症は症状を自覚しにくく、

病院を受診していないケースが多いと考えられるからです。

 

今回は、性感染症についてお話したいと思います。

 

性感染症とは、

細菌・ウイルス・寄生虫が性交渉によって

媒介されることで感染する疾患です。

 

病原菌の種類は30種類にも及びますが、

その中で、クラミジア、淋病、梅毒、膣トリコモナス、

ヒトパピローマウイルス、単純ヘルペスウイルス、

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎の8つが主な原因と言われています。

 

これらの性感染症は、

抗生物質を内服することで治療することができます。

 

どちらか一方のみの治療では、

性交渉により再び感染してしまうため、

パートナーと共に治療することが重要です。

 

けれども、パートナーに感染したことを打ち明けられず、

感染を繰り返してしまうケースが後を絶たないのが現状です。

 

性感染症の中で、

最も罹患者の多いクラミジア感染症。

 

クラミジアは、感染した人の精液や膣分泌液が、

性器や泌尿器、肛門、口腔に接触することで感染します。

 

女性の場合、おりものの増加、不正出血、

下腹部の痛みや性交渉時の痛みなどの症状が見られ、

男性の場合、排尿時の軽い痛みや尿道のむず痒さを自覚します。

 

けれども、男女ともに無症状のことが多く、

特に女性の90%以上は無症状であると言われています。

 

感染したことに気がつかないと、

どうなるのでしょうか。

 

無治療のまま放置されてしまうと、

結果として、慢性感染の状態となります。

 

男性の場合は前立腺炎や精巣上体炎、

女性の場合、卵管炎や腹膜炎、子宮外妊娠を引き起こします。

 

性感染症の中でも、

特にクラミジアや淋菌は

男女ともに不妊の原因になることが知られています。

 

不妊の原因の2割を

クラミジア感染症が占めていると推測する研究者もいます。

 

少し前の調査ではありますが、

日本のクラミジア感染症の実態を示唆する興味深いデータがあります。

 

国立保健医療科学院疫学部の今井博久氏が

2001年から02年にかけて行った調査によると、

クラミジア感染症の有病率は、

女子高校生が13.1%、男子高校生が6.7%であり、

18~19歳の女子大学生は13.4%であったといいます。

 

私は、性感染症の知識を有する看護師さんを対象に、

性感染症の認識や行動の実態について

今年の4月にWEBアンケートを行いました。

 

940名から回答を得た結果、

性感染症と不妊の関係性の認識率は

全体の95%(男性87%、女性96%)と高かったにもかかわらず、

性感染症検査の実施経験有りは

40%(男性24%、女性41%)と、

性感染症検査の実施率は低いことがわかりました。

 

実は、性感染症の検査であれば、

病院にいかなくても自宅で検査をすることができます。

 

検査キットをインターネットで注文し、

自分自身で検体を取って郵送すれば、

匿名で検査結果をすぐに知ることができるのです。

 

クラミジアとは違いますが、

性感染症の一つである淋菌において自己採取した場合、

医師が検査を行った場合に劣らないという報告があります。

 

もちろん、女性だけでなく、

男性も自宅で検査をすることができます。

 

どうしても病院を受診する時間がない人や、

病院になかなか行きにくいという人には、

お勧めしたいと思います。

 

性感染症の究極の予防は、性交渉しないこと。

けれでも、人間ですから、そんなことはできませんよね。

 

では、どうすればいいのでしょうか。

 

100%ではありませんが、

コンドームを正しく使用することで性感染症に感染する可能性を、

高確率で下げることができます。

 

不特定多数の人との性交渉も感染の可能性が高くなるため、

信頼できる人以外の人と性交渉を持たないことも重要です。

 

自分のカラダは自分で守るしかありません。

性感染症は決して他人事ではなく、

身近に潜む問題であることを、

一人でも多くの方に伝えていきたいと思っています。

 

 

 

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