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患者数2300人を超えた風疹 予防接種が「不可欠」であるこれだけの理由

2019/03/19

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

この原稿はAERA dot.(12月5日配信)からの転載です

https://dot.asahi.com/dot/2018120300016.html

 

山本佳奈

2019年3月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

風疹ワクチン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

首都圏を中心とした風疹の流行を受け、

11月末、厚生労働省は風疹の抗体検査の費用を

今年度中にも全額負担する方針を示しました。

 

さらに、流行の中心である

30代から50代男性の風疹の予防接種の原則無料化の検討を

開始するといいます。

 

流行の兆しをみせ始めた

9月時点でのコラムでもお伝えしましたが、

風疹は、妊婦さんが感染するとお腹の中の赤ちゃんも感染します。

 

すると、先天性風疹症候群と呼ばれる難聴や

心疾患、白内障や精神・身体の発達の遅れなどの症状を

伴って生まれる恐れがあるのです。

 

唯一の予防策は風疹ワクチンの接種。

妊娠中は予防接種をすることができないため、

妊娠する前にワクチンを打つこと、

そして女性だけでなく男性も接種し、

社会全体で流行を防ぐことが不可欠です。

 

■予防法の王道は…

しかし、妊娠中に感染する可能性があるのは、

風疹だけではありません。

風邪にもなります。

インフルエンザになってしまう可能性もあります。

 

風邪程度なら、お腹の中の赤ちゃんに影響が及ぶことはありません。

しかしながら、感染症の中には、

胎盤を通じて胎児に感染してしまい、

流産や早産、胎児に奇形や病気を引き起こしてしまうものがあるのです。

 

つまり、風疹ワクチンを接種するだけでは不十分ということ。

風疹の流行を防ぐだけでは不十分であるということ、なのです。

 

これらの感染症の予防法の王道は「予防接種をすること」です。

妊娠中に接種できるワクチンと接種できないワクチンがあれば、

そもそもワクチンがないものもあります。

 

ワクチンがない感染症は、

手洗いうがいなどによって体内に入れないようにするしかないですが、

ワクチンがある感染症は、予防接種により予防できるということです。

 

予防接種に使用する薬液であるワクチンは、

感染の原因となる細菌やウイルスを原材料に作られており、

成分の違いから「生ワクチン」「不活化ワクチン」「トキソイド」の

3つに大きく分類されます。

 

そのうち、妊婦さんが接種できないのは「生ワクチン」です。

生ワクチンは、ウイルスや細菌を弱毒化させたものを材料にしています。

 

毒性を弱められたものの生きているウイルスや細菌を接種することによって、

それらが体内で増殖することで感染を起こさせ、

免疫を作らせるのです。

 

体内で増殖したウイルスが胎盤を通じて胎児に感染し、

影響を与える可能性があるため、

妊娠中は接種することができません。

 

また、接種してから2カ月間は、

女性は避妊をする必要があります。

 

これらの生ワクチンには、

風疹・麻疹・水ぼうそう・おたふくのワクチンが含まれます。

 

風疹だけでなく、これらのウイルスは、

胎盤を通じて胎児に感染し、流産や流産、奇形、運動発達や

精神発達の遅れの原因になるため、予防接種が不可欠です。

 

■麻疹収束も束の間

麻疹といえば、今年の春、沖縄県で流行したことを覚えていますでしょうか?

 

麻疹の流行に伴い、沖縄への旅行中止が相次いだと言います。

私の勤務するクリニックでは、

麻疹ワクチン接種の希望者が急増。

 

しかし、流行が落ち着くにつれて、

報道数は激減し、麻疹ワクチン接種の希望者も、

報道数の減少を後追いするように、パタリといなくなりました。

 

6月には、麻疹流行の終息宣言が出され、

麻疹流行の事実すらすっかり忘れ去られてしまったかのよう。

 

旅行会社の入り口に張られた「麻疹終息!」と

書かれた紙を見た方もいらっしゃるかもしれせん。

が、落ち着いたのも束の間。

 

麻疹流行の終息宣言から2カ月後の8月中旬、

「風疹患者、関東を中心に急増」という報道を皮切りに、

風疹が流行しているとの報道が日に日に増加し、

それに伴い、今度は風疹ワクチン希望者も増加しました。

 

インフルエンザの予防接種とともに、

風疹ワクチン希望が後をたちません。

 

風疹の流行は、今現在もとどまる気配がありません。

首都圏を中心に、東海や近畿地方、福岡県などでも報告されており、

今年の全国の風疹患者数は、

11月28日発表で2186名に上っています

(編集追記:12月4日発表で2313人に拡大)。

 

そのうち男性が女性の約4.5倍の1800名あまり。

また、男性患者の8割は30代から50代です。

 

■ワクチンの同時接種

「妊娠したい人だけが、予防接種すればいいじゃないの?」という

意見もあるかもしれません。

 

もちろん、妊娠前に接種することは必須です。

妊娠を考える前に余裕を持って接種しましょうと、

私は声を大にして言いたいです。

 

しかしながら、流行させないようにする、

ということも大切になってくると思うのです。

 

感染して何日も高熱にうなされたり、寝込んだり、

といった辛い思いをしたくはないですよね。

 

そこで私は、今すぐにでも風疹だけでなく、

麻疹やおたふく、水痘に対する予防ワクチンも

風疹ワクチンと同時に接種することを提案したいと思います。

 

忙しい仕事の合間に、

医療機関を受診して抗体検査を行い、

結果を後日聞きに行くことは至難の技です。

 

ワクチン接種を検討している間に感染する可能性だってあります。

まだ予防接種していない、

接種したかわからないという一人でも多くの方に、

1日でも早く予防接種をしていただけることを願っています。

 

 

 

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