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元気な赤ちゃんが寝ている間に突然死… 「寝返り」や「うつぶせ」にはどうすればよい?

2019/04/16

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

この原稿はAERA.dot(12月12日配信)からの転載いです。

https://dot.asahi.com/dot/2018121100010.html

 

森田麻里子

2019年3月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

赤ちゃんうつぶせ寝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤ちゃんが寝返りをするようになると、

お布団に置いた瞬間に寝返りをしてしまい、

仰向けで寝かせられない、と悩むママ・パパは多いです。

 

確かに、元気な赤ちゃんが

明らかな原因がないのに睡眠中に突然亡くなってしまう病気、

乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクの一つとして、

うつぶせ寝があげられています。

 

うつぶせになって寝てしまうのは心配になりますね。

 

SIDSは「旧約聖書」にも記載があるほど古くから存在する病気ですが、

病気として名前がついたのは1960年代です。

 

原因はまだはっきりしていませんが、

無呼吸からの覚醒反応が遅延することが関係していると考えられています。

 

外的な要因により呼吸が妨げられる窒息とは異なり、

赤ちゃんが持っている素因に、

リスクとなる環境因子が重なって起こるようです。

 

■柔らかいブランケットや枕に注意

リスク因子としては、

赤ちゃんの暖めすぎや親の喫煙、

非母乳栄養などがありますが、最も大きいのは睡眠時の姿勢です。

 

1980年代後半からうつぶせ寝との関連が明らかになり、

1990年代になって仰向けで寝かせるよう注意喚起されるようになりました。

 

うつぶせ寝がなぜ覚醒反応を遅延させるのかはわかっていませんが、

欧米ではうつぶせ寝の減少に伴って、

SIDSも劇的に減少しています。

 

他にも母乳育児やたばこを吸わないことが

SIDSの発生率を低くすることが研究からわかっているため、

厚生労働省もSIDSの予防として、

 

  • (1)1歳になるまでは寝かせる時は仰向けに寝かせる
    (2)できるだけ母乳で育てる
    (3)たばこをやめる

 

といったことを推奨しています。

 

しかし、寝かせるときは仰向けでも、

その後赤ちゃんが自分で寝返りをしたときは、

どう対処すればよいのでしょうか?

 

実はアメリカ小児学会は、

仰向けからうつぶせ、

そしてうつぶせから仰向けの両方向の寝返りが

スムーズにできるようになった子は、

うつぶせになってしまったのを必ずしも戻さなくても良い、

と述べています。

 

その際に重要なのは、

柔らかい布団や枕、ブランケットなどを使わないことです。

 

このことを直接検証した研究はないようですが、

いくつか関連する研究結果がありますので、ご紹介しましょう。

 

■低月齢の子のいつもと違った「うつぶせ寝」がリスク

1992年から1996年にかけてヨーロッパで行われた研究では、

745人のSIDS症例と

2411人のコントロール群(年齢や性別などが近く病気ではない人たち)を

比較しています。

 

そのうち、仰向けで寝かせられた子の中で、

発見時にうつぶせだった子は、

発見時に仰向けまたは横向きだった子の16.6倍になっていました。

 

これを見ると、うつぶせになるのはとても危険と思えるかもしれません。

しかし、SIDSの発症は低月齢の子に多く、

この研究でも発症のピークは生後10週で、82%が6カ月未満の子です。

 

つまり、この研究結果には、

「まだ寝返りがスムーズにできない子」が

多く含まれていると考えられます。

 

また、1997年から2000年にかけて

カリフォルニアで行われた研究では、

185人のSIDS症例と312人のコントロール群を比較しています。

 

すると、発見時の姿勢に関わらず、

うつぶせに寝かせられた子は、

仰向けに寝かせられた子の2.6倍となっていました。

 

さらに、いつも仰向けなのにたまたまうつぶせだった子は、

いつもうつぶせに寝かせられている子より5倍以上も高かったのです。

 

このような研究から、

低月齢の子がいつもと違ってうつぶせになってしまう、

というのが特に重要なファクターと考えられています。

 

■寝返り防止クッションをおすすめできない理由

確かに、寝返りをはじめた頃の赤ちゃんは、

いつ寝返ってしまうかヒヤヒヤするものです。

 

不意の寝返りを防ぐためのクッションも市販されていますが、

使用はおすすめしません。

 

アメリカでは2010年までの13年間に、

寝返り防止クッションによる窒息が

原因で亡くなったと考えられる1~4カ月の赤ちゃんが

12人いると発表されています。

 

アメリカ食品医薬品局は現在、

このようなクッションの使用をやめるよう呼びかけています。

 

うつぶせ寝がいつから安全なのかはわかっておらず、

仰向けでいられるに越したことはありません。

 

その上で、仰向けに戻してもすぐうつ伏せになってしまう子は、

寝つくまで呼吸を見守り、

寝ついた後にそっと仰向けに戻してあげるのも一つの手だと思います。

 

そして、両方向にスムーズに寝返りができるようになった赤ちゃんは、

仰向けに戻さなくても良いかもしれません。

 

ママ・パパができることは、

万が一寝返りをしてしまってもリスクが最小限になるよう、

布団まわりに何も置かないことです。

 

■ベビーベッドには何も入れないほうが安全

欧米では、ブランケットや枕などを

何も入れないベビーベッドに寝かせるのが最も安全と言われています。

 

ベビーベッドを導入していないご家庭でも、

敷布団は赤ちゃん用の硬いマットレスにシーツをぴったりと敷いて利用し、

枕やブランケット、掛け布団は使わないのがおすすめです。

 

低月齢の赤ちゃんはおくるみでくるんだり、

おくるみを卒業した赤ちゃんは、

スリーパーという着るタイプの毛布を着せて寝かせるのがおすすめです。

 

掛け布団なしでは寒いのではと思われるかもしれませんが、

室温や服装、スリーパーの厚さで調節しましょう。

 

暑すぎる環境もSIDSのリスクと言われていますので、

少し涼しいくらいで大丈夫です。

 

寝かせるときは必ず仰向けにすることは非常に大切ですが、

ママ・パパが寝入った後にうつ伏せになってしまったら、

仰向けに戻してあげることはできません。

 

寝ている間ずっと監視しているのは不可能ですから、

できるだけ安全な環境を整えることが大切です。

 

寒くなってきてお布団や毛布など寝具が多くなりがちな時期ですが、

睡眠環境をもう一度見直してみてくださいね。

 

 

 

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