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漢方薬は安全?漢方薬による間質性肺炎

2019/05/15

 

*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。

 

漢方薬は安全?漢方薬による間質性肺炎

 

漢方薬は古来から使われていて、

生薬だから安全と信じられてきました。

 

その安全神話が崩れ去るようなニュースが、

1996年3月に大々的に新聞報道されました。

 

小柴胡湯の副作用である間質性肺炎により、

10名の方が亡くなったという内容です。

 

小柴胡湯は、風邪が長引いたときや

様々な慢性疾患に使われるごく一般的な漢方薬です。

当時はもっとも使われていた漢方薬でした。

 

この報道をされる前から、

慢性肝炎の治療としてインターフェロン治療と併用すると

間質性肝炎が増加することがわかっていました。

 

これを受けてインターフェロンと小柴胡湯の併用は

1994年1月に併用が禁止となりましたが、

その後も小柴胡湯が原因と思われる間質性肺炎が認められたのです。

 

漢方薬は確かに重大な副作用が問題になることは少ないですが、

間質性肺炎のように命にかかわる副作用がおこることもあります。

 

ここでは、漢方薬による間質性肺炎について

詳しくみていきたいと思います。

 

漢方薬間質性肺炎

 

 

1.漢方薬による間質性肺炎が判明した経緯

C型慢性肝炎に対する

インターフェロン治療への小柴胡湯の併用をきっかけに発見されました。

 

漢方薬による間質性肺炎が報告されたのは、

小柴胡湯というごく一般的な漢方薬がきっかけです。

 

小柴胡湯は、

風邪が長引いたときなどによく使われていた漢方でした。

 

それ以外にも、

さまざまな慢性疾患で和剤

(臓器と表皮の間でくすぶっている状態を少しずつ中和していく漢方)として

使われていました。

 

ですから、病名でいえば気管支喘息や慢性肝炎、

慢性胃炎などに使われていました。

 

小柴胡湯が慢性肝炎に効果があることは、

以前より報告されていました。

 

もちろん漢方薬には「証」もありますので、

万人に同じような効果を期待することは不可能です。

バッチリと証があった方に小柴胡湯が使われると、

著効することがあったのです。

 

1992年になると、

C型慢性肝炎に対してインターフェロン治療が適応となりました。

治療が非常に困難であったC型慢性肝炎に対して、

インターフェロン治療は非常に画期的な治療法でした。

 

しかしながら当時の薬では、

インターフェロンの効果は30~40%程度でした。

少しでもこの確率を上げられないかと注目されたのが小柴胡湯です。

 

当時は漢方は安全と考えられていましたから、

試しに使ってみたところ著効する方がいました。

 

これを受けてインターフェロンの作用メカニズムが研究され、

免疫系を高める効果がいくつか判明しました。

 

この報告をうけて、

全国でインターフェロンと小柴胡湯の併用が広まりました。

 

実際に使われていくうちに、

間質性肺炎の報告が急増しました。

 

インターフェロン自体にも

間質性肺炎の副作用が認められるのですが、

併用した患者さんで明らかに頻度が高いことがわかってきました。

 

注意喚起を行いましたが副作用報告は減らず、

死亡例も認められました。

このため、1994年にインターフェロンと小柴胡湯の併用が禁止されました。

 

その後も小柴胡湯は、

慢性肝炎の治療には使われていました。

 

しかしながら間質性肺炎の副作用報告が続き、

1998~1999年の2年間で50例が報告されています。

そのうちの8名の方が亡くなっています。

 

それ以外の漢方薬でも間質性肺炎の副作用報告がされたため、

現在では以下の漢方薬で間質性肺炎のリスクが警告されています。

 

ですがその頻度はとても少なく、

全身状態が悪い患者さんに認められることが多いものなので、

過度に恐れる必要はありません。

 

間質性肺炎という重大な副作用があることは頭にいれておきましょう。

 

  • 小柴胡湯
  • 柴朴湯
  • 柴苓湯
  • 柴胡桂枝乾姜湯
  • 辛夷清肺湯
  • 清肺湯
  • 大柴胡湯
  • 半夏瀉心湯

 

2.漢方薬でどうして間質性肺炎が起こるのか

アレルギーによるものと考えられています。

なぜ、間質性肺炎といった副作用が起こるのか考えていきましょう。

 

薬によって間質性肺炎が起こるメカニズムは、

大きく分けて2つあります。

  • 細胞を直接攻撃する
  • アレルギー(免疫異常)を引き起こす

 

抗がん剤などは細胞を直接攻撃することで炎症を引き起こし、

その結果として肺の間質組織がカチンコチンになってしまいます。

細胞毒性といったりします。

 

これに対して小柴胡湯などの漢方薬では、

アレルギーによって間質性肺炎を引き起こすと考えられています。

 

小柴胡湯には免疫を高める作用が確認されています。

TNF-αやインターロイキンといった

サイトカインとよばれる炎症性の物質が高まります。

その結果、肺の間質で炎症が急激に進み、

肺が線維化してしまってカチンコチンになってしまうと考えられています。

 

3.漢方薬による間質性肺炎の症状と治療

予想外の発熱、息切れや呼吸困難、かわいた咳には注意しましょう。

疑わしければ、漢方をすぐに中止します。

 

それでは、漢方薬を服用して間質性肺炎は

どのようにして疑っていけばよいでしょうか。

 

症状や治療についてもみていきましょう。

 

アレルギーが原因での間質性肺炎は、

一般的には1~2週間で生じることが多いです。

しかしながら小柴胡湯では、

投与開始してから2~3か月して生じることもあるので注意が必要です。

 

間質性肺炎の初期症状としては、

予想外の発熱、息切れや呼吸困難、かわいた咳などがみられます。

胸のレントゲンをとると、すりガラス状の影が認められます。

 

漢方薬による間質性肺炎が疑われたら、

ただちに漢方薬を中止します。

 

小柴胡湯による間質性肺炎で亡くなってしまった方と

生存している方を比較すると、

小柴胡湯を中止するまでの時間に差があります。

 

生存した方は平均6日ほどに対して、

亡くなった方では平均16日ほどとなっています。

 

漢方薬を中止したら改善するケースもあれば、

重症の場合はストロイドを使った治療をしていきます。

 

まとめ

漢方薬の副作用として、

小柴胡湯による間質性肺炎が世間を騒がせました。

 

間質性肺炎の副作用は頻度が多いわけではありませんが、

漢方にも重大な副作用がみられることもあることを認識しましょう。

 

ただ、漢方を過度に恐れる必要はありません。

適切に使えば、漢方は治療の幅を広げてくれます。

 

間質性肺炎に関しては、

予想外の発熱、息切れや呼吸困難、かわいた咳には注意しましょう。

疑わしければ、漢方をすぐに中止します。

 

 

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