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性犯罪被害者でなくとも、アフターピルが必要な人は沢山居ます〜産婦人科の現場から

2019/06/30

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

産婦人科看護師 相馬花(仮名)

2019年6月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

アフターピル産婦人科

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日もこの病院には多くの女性が来院されました。

そのなかの一人、A子さんは妊娠していて、

ほっそりした体にワンピースを着て、

ふっくらとしたお腹を隠すように大きめの上着を着ていました。

 

「妊娠していて中絶希望だけど、まだ誰にも打ち明けていない」と。

 

不安と恐怖に戸惑いながら、

誰にも相談出来ず、

大きくなるお腹を隠してきたとのこと。

性暴力被害ではない事は確認出来ました。

 

彼女は超音波検査で胎児の姿を見てびっくりして、

大泣きしてしまいました。

 

赤ちゃんの写真を見ながらお腹に手を当て、

胎動で「ポコポコしているのがわかるの」と。

 

そのことがとても苦しくて辛いと、

一時間以上も泣き続けました。

 

今後のことも踏まえ、

教育も含めゆっくりと色々話をしながら、

アフターピルの話題になりました。

 

「知っていたけど、高いし、

病院には恥ずかしくて行けなかった」と言われました。

 

この様な話は珍しい特別な話ではなく、

この病院の日常です。

彼女の悲鳴をみんなに感じて欲しいです。

 

それでも、アフターピルの市販化は必要ないですか?

 

ほんの少しだけ、想像してみて下さい。

アフターピル一粒で、

多くの女性が望まない妊娠を避けられ、

パートナーの男性は逃げなくて済む様になります。

 

男性もアフターピルについて正しく知るべきで、

避妊に失敗してしまったら、

服用を女性に勧めてあげる事が普通の日常になって欲しいと思う。

 

彼女は入院し、

数日かけて彼女の処置は進み、

娩出する日になりました。

 

陣痛を誘発する薬を使い、

陣痛を起こして、

出産と同じメカニズムで胎児を体外に出します。

 

次第に強くなる痛みに耐え、

看護師の手を握り、腰をさすってもらい、

「ありがとう」と何度も言っていました。

 

赤ちゃんと対面した彼女は「ごめんね」と、

繰り返し謝っていました。

 

そして、小さな白い棺の中に、

可愛い洋服と人形を入れてあげました。

 

予期せぬ妊娠、望まない妊娠の後に、

女性達がどんな苦しみを味わっているか、

現実と向き合おうとしない大人が沢山いる中で、

彼女は勇気を出して現実と向き合った。

 

でも、経験しなくていいなら、しない方がいい。

当事者も、援助する方のどちらにとっても、

辛く悲しいことです。

 

彼女は無事に退院しました。

わたしを見るなりハグを求めて小走りしてきました。

 

体は大人でも、

まだ子どもらしい可愛いさに溢れています。

 

私は「自分を嫌いにならないでね。

一番大切なのはあなたの命だから、

その命を大切に生きていくために今回頑張ったのだから。

よく頑張りました。自信を持って、元気に学校行って、

なんでも楽しんでね。」

と伝えました。

 

玄関で振り返り手を振る彼女の笑顔につられ、

わたしも笑顔で彼女に手を振りました。

 

退院後、彼女は赤ちゃんの火葬に立ち会います。

人生で始めて立ち会う火葬が、自分の赤ちゃんの火葬です。

 

中絶は単純に病院で処置して終わりと思ってる人がまだまだ多いけれど、

ここまでやって中期中絶のやる事は終わりになります。

 

一人ひとり抱えている生活背景も、

妊娠した時の状況も中絶を選択した時の状況も

それぞれ違います。

 

人の辛さは比べられないし、

それぞれが辛い思いを抱え苦しんでいます。

 

必要とする全ての女性の手に、

一粒の薬が簡単に届くようになったら、

苦しい思いを避けられるようになります。

 

アフターピルは大切な命を無駄にしないよう、

そして私たち女性が、自分を守るためにある薬です。

 

自分で自分の身体を、

自分の未来を守る事は

そんなにいけないことですか?

私たちの自由を奪わないでください。

 

いつか近い将来、

女性みんなが自分の身体と自分の人生を、

自分で守れる日が来ますように。


お願いです。助けて下さい。

 

 

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