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マネーデータベースと(独)神奈川県立病院機構

2019/08/08

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

神奈川県議会議員
小川くに子

2019年7月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

神奈川県立病院機構ガバナンス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワセダクロニクルと医療ガバナンス研究会共同探査である

「医師と製薬会社とのマネーデータベース」

この探査報道には、深い共感と驚きを抱きました。


そもそも、渡辺周編集長とは強制不妊手術の件について、

神奈川県の情報交換を数回交わした事がキッカケで、

私はワセダクロニクルを常にチェックするようになりました。

もちろんMRICも常に拝読しております。


製薬会社のHPで公表されている医師の金銭授受-講演、

コンサルタント業務などの謝礼として受領した金額を名寄せして、

分析する、という発想にまず脱帽。

 

またこの莫大な作業を敢行した忍耐力と、努力に、

深い敬意を表します。


このデータベースを元に、

私は神奈川県立病院機構と、県担当課を通じて、

意見交換をしました。

 

その経過と結果を公表し、

神奈川県民は元より、広く皆様方に、

神奈川県立病院機構のガバナンス力について、

ご判断していただきたく、投稿いたします。

 

地方独立行政法人神奈川県立病院機構(以下県病)のHPを検索すれば、

医師の名前は容易に出てきますので、県病の全医師を調べました。


受領額帯では1000万円以上の受領医師はゼロ。

1000万円未満から500万円までは受領医師は1人。

 

500万円未満から200万円までは  1人。

200万円未満は 89人。(2016年度神奈川県立病院機構の医師数304名)


結果、県病のある医師が1年間で製薬会社13社から105件、

9,432,324円と突出した金銭を受領している事が判明しました。

 

これには私は愕然としました。

そして以下のような素朴な疑問を抱き、

県担当課を通じて、時には、直接県病に問い合わせしました。

 

小川くにこの質問


1.A医師は、年間で105件アルバイトしている。

  こんなにアルバイトしていて、

  これで本来の医師業務が果たされているのだろうか?

  自分の主治医だったら、こんなにアルバイトしていたら、

  自分の診察は片手間で行われているのではないだろうか?

  と不安になるのではないか?


2.その医師が主治医だったら、

  その処方は、自分に本当に適切な処方なのだろうか?

  アルバイト先の製薬会社のものに偏っているのではないか?

  と患者さんは不安になるのではないか?


3.そもそも県病の医師は、みなし公務員のはずなのに、

  アルバイトしていいのだろうか?


4.こういう実情を県病は把握しているのだろうか?

  これは、どんな人でも、誰でも、

  率直に抱く不安であり、疑問であるはずです。

 

県立病院課または県病の答え


1.職務規定、兼業規定に正しく則って、

  アルバイトしているので、いくら稼いでも問題はない。


2.答えはない。


3.兼業規定に則れば問題ない。

  その医師は兼業の届け出をしており、

  許可が必要な兼業についても申請して許可されている。


4.今回把握したが、問題はない。

  届出、許可内容に則って兼業をおこなったかどうか

  調査する規則にはなっていないが、

  問題ない(事後チェックしていないという事)

 

これらの答えは、以下のような経過で、

担当課と意見交換を行なった結果出されたものです。

 

1.県立病院担当課に、データベースを渡し、

  ワセダクロニクルのサイトを教える。

  担当職員は、このデータの存在は知らなかったようで、

  一人の医師が突出した金銭を製薬会社から受領している事実は、

  全く把握しておらず、非常に驚いていた。


2.県病の兼業規定を要求する。

  製薬会社からの依頼による講演やコンサルタント業務については、

  単発の場合は、理事長に届け出。

  その業務が長期にわたる場合は、許可申請を行うことになっているらしい。

  それについては、審査委員会が県病内に設けられ、

  審査しているとのこと。


3.1000万円近くの金銭を製薬会社から受領しているある医師が、

  2016年度に県病に届け出、許可申請を出したものの一覧表を請求。

  提出された一覧表の件数、

  合計金額をデータベースと照らし合せたところ、

  金額と件数に乖離がある。

  県から提出された一覧表では受領金額が6,020,176円。

  マネーデータベースによると105件で、

  9,432,324円。300万円以上の相違がある。

  件数も77回と届出件数より28回少ない。
  しかも、許可申請していない兼業業務が、19件

  6,908,998円もあり、届出済みの件数、金額を合計すると、

  114件、計 12,929,174円にも上る。

 

4.県病の購入薬品を製薬会社ごとに金額をしめした資料を請求。

  これは、県病全体の購入額なので、分析がかなわず。


5.当該医師の処方内容を請求。

  アルバイト先の製薬会社に処方が偏っている傾向が見える。

 

以上の資料を分析しながら、

検討、質疑を繰り返した結果、

冒頭のように、職務規定、兼業規定に則っているので、

全く問題ないという考え方を県病から受けました。

 

この答に対して、

届出件数がマネーデータデータベースと異なっている、

そのことは調査しないのか?

無届け・内緒でアルバイトしている可能性が高いのでは?と問うても、

カウント方法に祖語があるかもしれないので、とだけ。

 

県病責任者は、

判断は当該医師の所属長にすべて任せてあるという、答えでした。

 

何という不遜な対応であろうか?

 

また、基本論として、

そもそも独立行政法人の職員の兼業は許されるのか?

という疑問に対しては友人弁護士が答えてくれた。

 

「独立行政法人国立病院機構の服務規程では、

 製薬会社からの講演料の受領や労務提供の対価を反復継続したり、

 製薬会社の組織の職に就任したりすると、

 有償兼業禁止規範に抵触し、懲戒処分の対象となる。
 また、そうでなくとも、勤務時間外に講演したり、監修したりして、

 その対価として金銭を受領した場合で、

 兼業に当たらない場合には、倫理上の問題となる。

 国家公務員の場合は倫理法で利害関係者からの受領の禁止、

 そうでない者からの受領できる金銭の額の上限、

 贈与等の報告義務等が定められており、

 違反すると懲戒処分になる。

 国と同様な倫理規定を設けているかどうかは、独法によって様々だ」


これは非常にわかりやすい説明であります。

 

地方独立行政法人が

どのような倫理規定を設けているか?

それが問われているのです。

 

神奈川県立病院機構が

そういう規定を設けていないのであれば、

策定しなければならないはずであります。

 

県病の答えのように、

いくらアルバイトで稼いでも構わない。

 

届出、許可申請さえ出せば、その真偽は問われない。

届け出と異なった兼業を行ったかどうかの事後チェックもしていないのは、

管理者として、怠慢なのではないか?

 

アルバイトやりたい放題。

このような状態がゆるされるのだろうか?

こういうゆるゆるな姿勢は経営姿勢にも通じてきます。

 

県病には独立法人とはいえ、

県税が繰入金として多額に投入されています。

 

そして県の方針に沿った医療を県民の為に提供しているのです。

県民から疑問や不安をもたれるような状態を

放置していることは許されません。

 

私は、上記のような不遜な対応をしている県病に対して、

今後、ひるまず対峙していこうと決意しているところです。

 

現状の地方行政独立法人 神奈川県立病院機構が、

いかにガバナンス力に欠けているか?明白であります。

 

これで、県病の経営を信じてまかせられるのか?

大きな疑問であります。

 

県民に対する医療の質を確保するために、

県立病院の医師が製薬会社から多額に金銭受領していることを、

無条件で放置するわけにはいきません。

今後もしっかりと追及していきます。

 

 

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