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英の希望小売価格は5分の1。それでも「高い」と揉めている ~オプジーボの光と影(6)

2016/11/08

 

※この原稿は、『ロハス・メディカル』10月20日号に掲載されたものです。

『ロハス・メディカル』編集発行人 川口恭

2016年11月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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なかなか分からなかった

他国でのオプジーボ(ニボルマブ)の価格について9月、

驚くべき発表がありました。

 

英国では、メーカーの希望小売価格が

日本の薬価の約5分の1で、

しかも非小細胞肺がんで保険償還される金額は、

その半分程度になりそうだ、というのです。

この驚くべき情報は9月6日、

厚生労働省で開かれた記者会見で明らかにされました。

 

会見を開いたのは、

開業医や開業歯科医の団体の全国組織である

全国保険医団体連合会(保団連)です。

 

保団連はこの日、塩崎恭久厚生労働大臣宛に、

新薬の薬価算定経過の公表や

オプジーボ薬価の緊急引き下げなどを求める要望書を提出しています。

保団連職員によると、

会見には20社以上が参加したものの、

記事にした一般メディアは産経新聞だけだった

(10月に入ってから日経新聞が大きく扱いました)とのこと。

皆さんも恐らく初耳でしょう。

なので、発表の内容を簡単に説明すると、

 

1.日本の薬価は、

米国のメーカー希望小売価格の2・5倍、同じく英国の5倍である

(表:http://robust-health.jp/article/images_thumbnail/2016/10/MRIC-582.php)。

英国でも、悪性黒色腫については保険償還されている。

 

2.非小細胞肺がんについて、

この価格では保険償還しないという判断が出ており、

焦点はメーカーがどれだけ値引きするか(ただし、その価格は非公表)。

最終判断が9月中に出される。

交渉過程を追いかける限り、

妥結するなら半額程度になりそう、というものでした。

なお、「ひと夏潰して」調査に当たったという

小藪幹夫氏(大阪府保険医協会)によると、

交渉は難航しており最終判断が出るのは10月にズレ込むようです。

 

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シビアな費用分析

念のために説明しておくと、英国は国民皆保険で、

原則として医療費の患者自己負担はありません。

 

一方で、医療行為の費用対効果を

科学的に判定するNICEという組織があり、

NICEが保険償還を推奨するか否かの関門になっています。

 

NICEの費用対効果分析の結果、

日本では当たり前に使えるような高額な抗がん剤の多くが保険償還を見送られ、

日本とは逆の方向で社会問題になっています。

非小細胞肺がんでNICEの関門を突破するため、

メーカーであるブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)は、

26回(1年)を超えて投与を行う場合は、

その薬剤費全額を負担するという形での値引きを提案しています。

 

交渉は、それを前提に、

最初の1年分の薬剤費としていくら保険償還するのかを巡って行われており、

小藪氏は希望小売価格の半額程度になるのでないかと分析しています。

 

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BMSが最初にした提案から見て、

たとえ日本の5分の1の薬価でも、

国民皆保険で保険償還されるなら

メーカーに十分な利幅があることは間違いありません。

また、BMSの提案が興味深いのは、

1年を超えて飲み続ける患者が積み上がったら大変な負担になるはずなので、

現在のように投与を永劫続けることに合理性はなく、

どこかでやめられるとメーカー自身も考えていることが窺える点です。

前々回の本欄で指摘した

「治験が行われていないから、やめられない」という状況は、

NICEが交渉してくれたお蔭で案外早く解消するのかもしれません。

それにしても、医薬品の市場規模が英国の3倍近くあり、

その気になれば交渉力だって持てるはずの日本の健康保険が、

ここまで製薬企業のカモにされていること、情けない限りです。

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