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「 男性アスリートと貧血 」

2016/11/21

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

一般財団法人 日本生涯スポーツ健康協会
菅野優太

2016年11月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

●高校2年時に判明した貧血

今から約20年前、私が高校2年生の時の話になります。
インターハイ予選(千葉県大会)の5月に起こりました。
大会は全4日、3日目を終えて100M4位・400Mリレー5位となり
2種目で南関東大会出場を決めた最終日の出来事になります。
※各種目6位まで次のラウンドに駒を進める事ができます。


都道府県大会→地区大会→全国大会
200Mの予選を走り終え、準決勝を棄権。
その後、貧血の診断を受けました。

 

●明らかな異変

予選を終えて陣地に戻るのですが、何か気持ちが悪い。
足が棒のようにパンパンになり歩く事すらも辛い。
数歩歩くだけで立ち止まらざるを得ない。そんな状態でした。


その後、顧問の先生と話し合い棄権の選択をし、

すぐに病院へと向かいました。

 

●保証しないよ

帰宅後、血液検査を受け後日、結果を聞きに伺いました。
「すぐに入院して検査ね」
何を言われたか良く覚えていませんが、
「ヘモグロビン」「胃カメラ」

この言葉だけは今でも鮮明に覚えています。

 

●「5・5」

正直、一般の高校生で貧血の知識がある人はそういないと思います。
スポーツをやっていたとしても、

自分の血液状態を気にしているのは
女性、もしくは長距離選手くらいではないでしょうか。


私の専門は短距離走です。

貧血になるなんて夢にも思いませんでした。

 

先生の話を要約すると、
ヘモグロブビンという数値が

通常12〜14くらいは無いといけないものが、

あなたは「5・5」しかありません。


女性が7・0位になるのは月経等があり珍しい事ではないが、

男性で貧血。しかも5・5といった数字は見た事がない。との事でした。


そして、一言。
「このまま走り続けるなら保証はできないよ」

 

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●「原因不明」

抵抗はしたものの精密検査を受けました。
ただ、具体的に悪い箇所はなく原因不明との事でした。


その後、入院を勧められましたが

2週間後に関東大会がある事を理由に投薬での治療をお願いしました。

 

●「予兆」

今、思えばという事は多々ありました。
この経験が今、競技をしている・部活動・スポーツをしている人たちの

参考になれば幸いです。

 

練習メニューがこなせない。
すぐに足がだるくなる。
日焼けしにくい。
目の下の裏が白い。

 

そして先日、上先生とお話させて頂いた際に

新たに一つ見つかりました。


それが、氷を食べる事です。


私は高校時代、1年生の冬期から毎晩入浴前に

氷を口に入れてから入っていました。


当時はなんとも思っていませんでしたが、

氷をかじりたくなる症状は典型的な貧血の症状と伺い思い出しました。

 

今、何か疲れやすいな。疲れ取れないな。


周りに練習が極端に弱い友人がいたら、

練習弱いな。根性がないなと決めつけずに1度、大丈夫か?

貧血の検査してみたら?と

声をかけてあげるだけで救われる人がいるのではないでしょうか。

 

私ももっと発見が早ければ、

こんな重症にならなかったと思います。

 

●「貧血とパフォーマンス」

最後になりましたが、

貧血が治って足が速くなったかというと、

結果的に速くなりました。


貧血時(ヘモグロビン5・5)のベストタイムが10秒79
(ヘモグロビン14・0)にあがった時のベストタイムが10秒66
共に高校2年時の記録です。

 

主な変化は、疲労度合いの解消でしょうか。


予選からラウンドを重ねても準決勝・決勝は回復した状態で走れる。
そんな当たり前なことが貧血時はできませんでした。


当然、練習量もこなせますし、

筋肉も多少はつきやすくなったような気がしました。


男性だから、長距離じゃないから。
そんな風に思っている人は1度、検査をしてみてはいかがでしょうか?


パフォーマンスが上がるかもしれませんよ。

 

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プロフィール
菅野優太(かんのゆうた)
1980年(昭和55年)千葉県生まれ
下総中学校、東京学館高校を経て日本大学文理学部卒業。
元陸上日本代表 100M日本ランキング2位(2003)
日本ジュニア選手権200M優勝(1999)
アジア選手権100M6位(2002)2008年に引退後は、

子ども向けのかけっこ教室を設立。

現在は、一般財団法人日本生涯スポーツ健康協会にて勤務しながら、

大学の外部コーチも務めている。

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