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演技性パーソナリティ障害(演技性人格障害)の特徴をチェック!

2017/01/09

 

*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。

 

演技性パーソナリティ障害(演技性人格障害)の特徴をチェック!

 

芝居がかった言動や派手な外見で

周囲の関心を引こうとする演技性パーソナリティ障害。

 

目立ちたがりなだけと受け取られがちですが、

不安定な感情や行動で生活に支障をおよぼします。

 

周囲を振り回してしまうことで人間関係がうまくいかなくなり、

組織や友人などと安定した関係が築けません。

 

うまくいきれないことにストレスをかかえ、

抑うつ状態や不安障害を合併することも少なくありません。

そういったストレスが身体の症状に表現されやすい傾向もあります。

 

それでは演技性パーソナリティ障害は、

普通の目立ちたがりの人と何が違うのでしょうか。

ここでは、演技性パーソナリティ障害(演技性人格障害)の傾向を

チェックしてみましょう。

 

1.演技性パーソナリティ障害の特徴からチェック

演技性パーソナリティ障害では、

他者からの注目を極度に浴びたがる人格傾向があり、

それが特徴として行動に現れます。

 

まず初めに、ごく簡単に演技性パーソナリティ障害の特徴をご紹介します。

これらの項目に多く当てはまる場合はその可能性が高いということになりますが、

それだけでは判断できません。

 

演技性パーソナリティ障害を診断していくためには、

パーソナリティ(人格)として特徴が固定している必要があります。

このため、一時点では評価ができず、

専門家でも診断には時間がかかることが多いです。

あくまで自分自身の人格傾向の把握の参考にしていただけると幸いです。

 

まずは演技性パーソナリティ障害の特徴をみていきましょう。

  • ・常に周囲からの関心や注目を欲しがる

    ・望み通りの関心や注目を得られない場合には激しく不機嫌になる

    ・自分の外見や性的魅力を極端に気にする

    ・行動がやけに誘惑的である

    ・感情表現が大げさなわりに内容が薄い

    ・周囲、物語などの影響を受けやすい

    ・感情が不安定で、うつ状態になりやすい

 

周囲からの関心や注目を欲しがることは、

特別めずらしいことではありませんし、

そのために話をふくらませたり演技をしたりする経験も、

たくさんの人が持っていると思います。

 

外見や性的魅力をアピールしたがり、

誘惑的な態度で周囲を振り回すタイプの人も意外と多く存在します。

 

しかし、それらがすべて演技性パーソナリティ障害にあたるかといえば、

そんなことはありません。

 

演技性パーソナリティ障害をチェックする上では、

上記の特徴に加え、重要なポイントがあります。

 

2.演技性パーソナリティ障害を
  チェックするための重要なポイント

演技性パーソナリティ障害と診断するためには、

「本人か周囲が困っているかどうか」

「一時的でなくどの場面でも認められる特徴かどうか」が

重要なポイントとなります。

 

パーソナリティ障害は全般的に、

そのような傾向があるというだけでは障害とはされません。

誰しもパーソナリティ(性格)の偏りは持っていて、

それが個性につながっていきます。

 

演技性パーソナリティ障害の場合も、

演技的な振る舞いや周囲からの関心を集めたがる行為そのものは問題がないのです。

ときには、その性格傾向がプラスに働くこともあります。

例えば芸能の分野などでは、とても大切な要素にもなります。

 

それでは何が問題かと言えば、以下の3つの項目がポイントとなります。

  • 本人の内面が空虚で強い苦痛を感じている
  • そのことにより、うつ、不眠、物質依存などをまねいている
  • 本人の行動により周囲でトラブルがおきている

 

パーソナリティの特徴を「障害」と考えるのは、

その過度なパーソナリティの偏りが

  • 本人の生活や精神状態にとって支障がある
  • 周囲の生活や精神状態にとって支障がある

このいずれかが当てはまる場合です。

 

とくに誰も支障を感じず、

問題なく社会生活ができているのなら、

どれだけぶっ飛んだ性格であっても「障害」ということにはなりません。

 

さらには、パーソナリティ障害と診断するには

一時的な特徴であってはいけません。

 

例えば、彼氏にフラれた直後では、

さみしくなって一時的に周りを誘惑して

自分に関心を集めたいと思う方もいるでしょう。

落ち着けば、このような気持ちは薄れていきます。

 

このようにパーソナリティ障害は、

その特徴が広く生活の様々な場面で認められ、

時間の経過でも大きく変わらずに認められる必要があります。

 

ですから演技性パーソナリティ障害と診断するためには、

  • 本人か周囲が困っているかどうか
  • パーソナリティの特徴が一時的でなく、どの場面でも認められるかどうか

この2点が重要になります。

 

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3.演技性パーソナリティ障害では
  どこに問題のポイントがあるか

演技性パーソナリティ障害では、本人の内面が空虚で、

人間関係の不安定さも重なって抑うつ状態や不安障害、

物質依存などが生じやすいです。

 

また、周囲とのトラブルになってしまったり、

不適切な人間関係になってしまうことがあります。

 

それでは演技性パーソナリティ障害では、

具体的な問題として何がおこりやすいでしょうか。

まず、本人に生じる問題から見ていきましょう。

 

演技的な人は自分を魅力的に見せようとするので、

ともすれば自信に溢れているように見えるかもしれません。

 

しかしながら実際はその反対で、

本人の内面は非常に不安定です。

相手を誘惑して操作的な態度をとったと思いきや、

別の場面では相手に著しい依存を示します。

 

周囲の関心を引く行為自体が本人の楽しみになっているのなら、

周りが振り回されるだけなのですが、

演技性パーソナリティ障害の方は、

内面の不安定さを隠すためにそのような行動を取るのです。

 

自分の価値を自分で認められず、

周囲からの関心で自分の価値を確かめようとしていると考えられます。

 

そのため、行動は派手で大胆に装っていても、

内面では常に周囲の反応をうかがい、

関心が得られなければ不安になって、

子どものような癇癪をおこしたりします。

 

常にそんな不安定な状態でいるので、

うつ状態や不安障害になりやすいです。

そしてそのストレスをごまかすために、

アルコールや薬物に依存しやすい傾向があります。

 

このような情動の不安定さや、

演技的で嘘をつくことで周囲からの信頼を失い、

自らを孤独に追い込んでしまう場合もあります。

このように人間関係が不安定でうまくいかないことがストレスになり、

精神状態が悪化するという悪循環に陥ります。

 

次に、周囲が巻き込まれてトラブルになりやすいという点があげられます。

演技性パーソナリティ障害の方は、

とくに異性の関心を引きたがる傾向が強く、

自分の性的な魅力をアピールしたがります。

 

そのような行動がふさわしくない職場や、

家庭持ちの相手に対しても性的なオーラを発散するため、

トラブルがおこりやすくなります。

 

また、本人も相手に恋愛感情があってそうするわけではなく、

自分の価値を異性から求められることで感じようとしているだけなので、

正常な恋愛関係が築けず、

実際には望まない相手と関係ができてしまったり、

危険な相手を引き寄せてしまったりする危険があります。

 

4.演技性パーソナリティ障害発症の年齢や
  男女差は?

女性が多いといわれていますが、

性差はそこまでないとも考えられています。

 

演技性パーソナリティ障害の診断を受ける人は、女性が多いです。

しかし、男性にもそれなりの数が存在していると見られています。

実際には性差はほとんどなく、

女性よりは男性の方が行動が目立ちにくいため、

気づかれることが少ないともいわれています。

 

アメリカで行われた2001~2002年の統計では、

有病率は1.84%と報告されています。

少なくないパーソナリティ障害といえます。

 

発症年齢は十代頃からが多いですが、

もっと以前の学童期からその傾向が見られる場合もあります。

 

年齢が高くなるごとに数は減りますが、

ただ単にアピールの度合いが弱くなって

目立たなくなるという人格の成熟という面もあります。

 

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5.診断基準から
  演技性パーソナリティ障害をチェック

演技性パーソナリティ障害の診断にあたっては、
DSM-5とICD-10の2つの診断基準を参考にしていきます。

 

ここでは、精神科の臨床で実際に使われている診断基準を見てみましょう。

診断基準には、アメリカ精神医学会の定めるDSM‐5と、

世界保健機構(WHO)の定めるICÐ-10があります。

 

5-1.演技性パーソナリティ障害の診断基準(DSM-Ⅴ)

過度な情動性と人の注意を引こうとする範囲の広い様式で、

成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。

 

以下のうち5つ以上の特徴によって示される。

  1. 自分が注目の的になっていない状況では楽しくない
  2. 他者との交流は、しばしば不適切なほど性的に誘惑的な、
    または挑発的な行動によって特徴づけられる
  3. 浅薄ですばやく変化する情動表出を示す
  4. 自分への関心を引くために身体的外見を一貫して用いる
  5. 過度に印象的だが内容がない話し方をする
  6. 自己演劇化、芝居がかった態度、誇張した情動表現を示す
  7. 被暗示的(他人または環境の影響を受けやすい)
  8. 対人関係を実際以上に親密なものと思っている

 

5-2.演技性パーソナリティ障害の診断基準(ICD-10)

以下によって特徴づけられるパーソナリティ障害

  1. 自己の演技化、芝居がかった態度、感情の誇張表出
  2. 他人や周囲から容易に影響を受ける非暗示性
  3. 浅く不安定な情緒
  4. 自分が注目を浴びる行為、興奮を得られる行為を持続的に追い求める
  5. 不適切に誘惑的な外見や行動をとる
  6. 自分の身体的な魅力に過度な関心を持つ

 

診断基準は、あくまで医師が診察時に参考とするものになります。

実際には話す内容、態度、これまでの経歴や病歴、

他の疾患との判別など、

様々な要素をふまえて総合的に診断をくだします。

 

 

まとめ

演技性パーソナリティ障害は、

  • 人からの関心や注目を過度に欲しがる

これが最大の特徴です。

 

それは自分の価値を自分で認められない内面の空虚さからおこり、

本人の精神的苦痛があるかどうかというのも、

チェックする上で重要なポイントです。

 

人の目を引く大げさで演技性の高い行動により、

  • 本人の生活や精神状態にとって障害となっている
  • 周囲の生活や精神状態にとって障害となっている

 

このどちらかに当てはまれば、

演技性パーソナリティ障害の可能性は高くなります。

 

しかし精神疾患の診断は、本来時間をかけなければ難しいものです。

一時的であれば、パーソナリティ障害とはいえません。

また、自分自身が自分のパーソナリティの偏りに気が付くというのも、

実はかなり困難なことです。

 

もしかしたら…と感じることがあり、

生活上で何か支障や苦痛を感じているときには、

専門家に相談してみてください。

 

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