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要確認、あなたは「ピロリ菌」に感染していないか? 胃がん検診時はピロリ菌ステータスのチェックもお忘れなく

2017/02/16

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

この原稿はJBpressからの転載です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49029

 

武蔵浦和メディカルセンター
ただともひろ胃腸科肛門科
多田 智裕

2017年2月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

 

「この方は(ピロリ菌検査歴)なし、

(ピロリ菌治療歴)なし、次の方もなし、なし・・・」


さいたま市では40歳以上の市民であれば(職場でバリウム検査を受けた方は除く)、

誰でも1000円(70歳以上は無料)で胃内視鏡検査を受診することができます。


3月11日まで実施されるその市民検診はいよいよ最終段階に入り、

内視鏡検診で撮影収集された画像を

ダブルチェックする現場も慌ただしくなっています

(ダブルチェック=本当に見落としがないか、

撮影された画像を専門医が読影すること)。


胃がんを引き起こす最大のリスク要因はピロリ菌の感染です。

ですから、さいたま市民検診・胃内視鏡検査では2016年から、

ピロリ菌検査歴の有無とその結果、

およびピロリ菌除菌治療受けたかどうか(そして除菌できたかどうか)の問診を、

全ての受診者に行うようになりました。


その結果判明したのは、

内視鏡検査画面では明らかに胃がピロリ菌に感染していると思われるのに、

ピロリ菌検査や除菌治療を受けていない方が

多数存在しているということでした。


胃がんを減らすためには、

胃内視鏡検診の普及に加えて、

ピロリ菌検査の受け方と除菌治療について多くの方が理解し、

自分の“ピロリ菌ステータス”を把握することがきわめて大切です。


(参考・関連記事)「50歳以下の人には必要ない毎年の胃がん検診」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46734

 

●胃がんの98~99%はピロリ菌感染によるもの

1982年に発見されたピロリ菌は、

胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの病気の原因とされています。


現在の胃がんの98~99%はピロリ菌感染によるものです。

ピロリ菌を除菌することで胃がんの発症率が

大幅に下がることも研究によって判明しています

(日本癌学会の一般向けサイト

「胃がんで亡くならないためには何をなすべきか」も参照ください)https://www.jca.gr.jp/public/seminar/023/001_asaka.html


そのため、胃がん検診においては、

内視鏡検査だけではなく、

自分がピロリ菌に感染しているかいないかの状態を

把握しておくことも重要になります。


感染していた場合には除菌治療が必要になります。

ただし、投薬における副作用や、

耐性菌の場合には除菌できない可能性がありますので、

不安に思われている方も多いかもしれません。

 

しかし、除菌薬の副作用で時折発生する蕁麻疹や下痢は、

内服を中止すれば自然に軽快する場合がほとんどです。

 

後遺症が残ることは(10年間の数千名の当院の症例上は)、

まずありません。

 

また、胃酸分泌を強力に抑制する

ボノプラゾン製剤(武田薬品の「タケキャブ」)を用いることで、

現在は1回目の除菌で9割、

2次除菌まで含めると98%の確率で菌を退治できます。


ピロリ菌の感染経路は

経口感染(ピロリ菌を含む水や食べ物の摂取により感染)なので、

一度除菌成功すれば、上下水道のインフラが完備されている日本で暮らす限り、

再感染する確率は1%未満とされています。


胃がんリスクを大幅に減らし、除菌の重篤な副作用もなく、

一度退治すれば再感染することもまずないピロリ菌は、

専門医の間では“退治するのが当然“とされているのです。

http://expres.umin.jp/mric/mric_035.pdf

ピロリ菌の電子顕微鏡写真(出所:Wikipedia)

 

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●ピロリ菌の感染診断は1回で十分

日本で暮らす限り、

成人してから新たにピロリ菌に感染することはほとんどありません。

そのため、上下水道などの衛生環境の整った環境下であれば、

自分が感染しているかいないかをチェックするのは基本的には1回で十分です。


チェック方法としては、

血液抗体検査、内視鏡検査の際に組織を採取して調べる検査、

検尿・検便や吐いた息での検査(呼気検査)といった方法があります。


これらの中で、内視鏡検査時に組織を採取してチェックする方法だと、

ピロリ菌がいない部位を採取して検査した場合、

ピロリ菌に感染していても陰性となってしまいます。

よって、陰性でも胃炎が強いようであれば

血液か尿か便での再検査が望ましいでしょう。


最もよく行われているのは血液抗体検査で、

検査数値(抗体値)10未満を

「ピロリ菌感染なし」としている場合がほとんどです。

 

しかし検査で陰性でも、

検査数値が3から10未満の間であった方は

実際にはピロリ菌に感染していることが多いので、

他の方法でもう一度チェックすることが望ましいと思われます。


尿抗体(尿での検査)も、よく用いられている方法です。

ただし、数年前に国内販売会社のキットの仕様が変更となり、

やや精度が落ちた(判定が困難になった)印象があります。

 

また、呼気検査は試薬が3000円ほどかかるため

他の検査に比べて割高になります。


以上の理由から、

私の施設では便抗原での検査を最初の感染診断としてお勧めしています。


毎年調べ直す必要はなく、

基本的には1回だけで済みますので、

ぜひ自分のピロリ菌ステータスを把握していただきたいと思います。

 

●ぜひ自分のピロリ菌ステータスの把握を

自分のピロリ菌のステータスが分かったら、

国立がん研究センターが提供している

チェックシート ( http://epi.ncc.go.jp/riskcheck/gastric/scoresheet/index.html ) を

使って、自分の胃がんリスクをチェックしてみましょう。


「D群(ピロリ陰性かつ慢性胃炎)」だと

ものすごくスコアが高くなってしまいますが、

本当の意味でD群の方は実際にはほとんどいませんので注意が必要です。

 

つまり、前述したように、

実際にはピロリ菌に感染しているのに

ピロリ菌感染組織検査でピロリ菌がいない部分を採取して

陰性と診断されているか、

血液抗体カットオフ値未満(3~10)で陰性と診断されている場合が

ほとんどだということです。

 

なので、別の方法でピロリ菌チェックを受け、

陽性であれば除菌して胃がんリスクを下げることをお勧めします。


胃がん内視鏡検診は、

さいたま市のみならず数多くの自治体で

今後順次施行していく予定となっています。

 

その効果を最大にするためには、

一人ひとりがピロリ菌ステータスを把握しておくことが

非常に重要だと思います。

 

胃がん検診を受ける際には、

ぜひとも自分のピロリ菌ステータスも把握してみてはいかがでしょうか?

 

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