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心身症とは?心身症と神経症の違いとは?

2017/03/18

 

*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。

心身症とは?心身症と神経症の違いとは?

心身症という病気は、

ひとつの病気をさすものではありません。

ですから病院に受診して、

「心身症」と診断されることはありません。

 

心身症とは、「心(こころ)」と「身(からだ)」が

相互に影響することによって生じる身体の病気のことをさします。

つまり心身症は、ストレスによって主に身体症状がでている状態のことです。

 

心身症とよく混同されるのが、神経症です。

神経症と心身症にはどのような違いがあるのでしょうか?

また、神経症と心身症では、

それぞれ具体的にどのような病気があてはまるのでしょうか。

ここでは、心身症とはどのような病気なのかお伝えしていき、

心身症と神経症の違いについてみていきたいと思います。
 

1.心身症とはどのような病気なのか

心身症とは、「こころ」が原因や要因となっていて、

何らかの身体疾患が認められることです。

 

それではまず、心身症とはどのような病気なのでしょうか?

 

心身症という言葉が初めて使われたのは、

1818年にさかのぼります。

ドイツ医師のHeinrothの睡眠障害の論文の中で

初めて使われたと言われています。

 

身体は魂が宿った者であり、

身体と魂が相互作用をおこして身体疾患や精神疾患が発症すると考えました。

「魂」というのが、今でいう「心」になります。

 

心身症という言葉が生まれたのは200年ほど前にすぎませんが、

さらにさかのぼる大昔では、

心と身体は相互に影響しあうものという考え方が一般的でした。

「病は気から」という言葉が使われるかと思いますが、

日本でも心のありようが身体にあらわれるという

相互作用を重視してきました。

 

しかしながら近代西洋医学が進化する中で、

心と身体を別々にして扱うことが主流となっていきました。

そんな中で、少しずつ心身症という考え方が

見直されるようになっていきました。

 

身体の病気の中には心の問題が密接に関係していて、

治療には心身両面からのアプローチが必要という考え方がでてきました。

 

こうして発展したのが、現在の心身症です。

日本心身医学会が提唱している心身症の定義から見ていきましょう。

 

心身症とは、身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、
器質的ないし機能的障害が認められる病態を言う。
ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する。

 

分かりやすく言いかえると、

心身症とは以下の3つの条件を満たすもののことをいいます。

 

  • 心理社会的ストレスが発症や経過に密接に関係する
  • 身体の病気である
  • 神経症やうつ病などの精神障害が関係していない

 

心身症は、「こころ」が原因や要因となっていて、

何らかの身体疾患が認められることになります。

 

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2.心身症での病気に対する考え方-心身相関

「こころ」と「からだ」は、

自律神経系・内分泌系・免疫系で密接に関係しあっています。

 

心身症とは、「心(こころ)」と「身(からだ)」が

相互に影響することによる病気のことをさします。

 

心身症では、病気に対して「心身相関」という考え方を大切にします。

脳と身体の間には、

自律神経系・内分泌系・免疫系の3つが

常にコミュニケーションをしています。

そしてこの3つの中でも、コミュニケーションをしています。

 

心身症とは?心身相関について

 

ストレスがかかると、

自律神経系では交感神経が刺激されます。

交感神経は、身体を「戦うモード」に切り替えます。

 

このため、心機能が高まって動悸や頻脈となり、

呼吸が早くなり、筋肉は緊張してこわばります。

その一方で消化は抑えられ、胃腸の働きや唾液分泌などが悪くなります。

 

内分泌系では、視床下部―下垂体―副腎皮質系の働きが重要です。

ストレスを受けると下垂体からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が分泌されて、

ACTHは副腎皮質からコルチゾールが分泌されます。

 

コルチゾールは、

「ストレスなどの負荷に対して、体が負けずに元気になれ!」と

命令するホルモンなので、抗ストレスホルモンともよばれます。

血糖をあげたり、炎症を抑える働きがあります。

 

免疫系はこれに密接に関係しています。

免疫系はストレスがかかると、一般的に抑制されます。

 

病原体が細胞に感染するのを防ぐ

液性免疫(抗体)は強くなることもありますが、

感染してしまった細胞をやっつける細胞性免疫(キラー細胞)は弱まります。

 

これらの3つが相互に作用して、様々な心身の病気の原因になると考えます。

 

3.心身症にはどのような病気があるのか

心身症には、ストレスで生じるイメージのつきそうな病気から、

まったく関係を感じないものまで多岐にわたります。

多くの病気の原因に、ストレスが関与しているのです。

 

心身症は、「こころ」が原因や要因となっていて、

何らかの身体疾患が認められることになります。

 

心身症は、おもに心療内科がみていきます。

心療内科は、「こころ」が原因や要因となっている病気のうち、

身体症状を重視してみていきます。

 

ですから心療内科は内科に属していて、

実際に身体疾患が認められる心身症をみていくのです。

 

心身症で見ていく病気はストレスで生じる身体疾患すべてになるので、

実に様々な疾患があげられます。

 

仕事や日常でのストレスによって、

身体の調子が悪くなってしまったことは

多くの方が経験されたことがあるかと思います。

それだけではなく、

一見ストレスと関係なさそうにみえる病気もあります。

 

みなさんがイメージしやすいものとしては、

  • 頭痛
  • 胃痛(胃潰瘍)
  • 下痢・便秘
  • 吐き気

などでしょうか。

 

腹痛や下痢など、

腹部症状に出てくる方が多いような印象があります。

それだけではなく、普通に身体の病気と思っている病気の中にも、

ストレスが大きく関係しているものがあります。

持病をお持ちの方は、チェックしてみてください。

 

心身症で認められる病気について

 

このように見ていただくと、

心身症の対象となる病気は非常に多岐にわたることが

お分かりいただけるかと思います。

つまりは、多くの病気の原因にストレスが関係しているということです。

 

4.神経症とはどのような病気なのか

神経症は、「こころ」が原因や要因となっていて、

何らかの精神疾患が認められることになります。

 

それでは、神経症とはどのような病気でしょうか。

神経症は、1769年に

スコットランド医師のWilliam Cullenによって作られました。

当時の神経症は、脳神経系が関係する病気全般を指すものでした。

 

現在の神経症の考え方は、

かの有名なフロイトによって作られました。

フロイトは病的な不安による病気を取り出し、

不安神経症と呼びました。

 

神経症というと、この不安神経症のことを指します。

現在の診断基準では、

不安神経症は「不安障害全般」のことを意味します。

 

不安神経症では急性不安と慢性不安の区別があいまいでしたが、

急性不安には生物学的な原因があることが分かってきました。

 

このため不安神経症という病気は使われなくなり、

急性不安としてはパニック障害や社交不安障害、

慢性不安としては全般性不安障害などの病気に細分化されています。

 

不安障害は、ストレスなどが原因となって生じる

精神症状を中心とした病気です。

このため神経症は、「こころ」が原因や要因となっていて、

何らかの精神疾患が認められることになります。

 

5.神経症にはどのような病気があるのか

神経症は、現在の診断基準で

不安障害や強迫性障害にあたる病気になります。

 

神経症は、「こころ」が原因や要因となっていて、

何らかの精神疾患が認められることになります。

 

神経症は、おもに精神科医がみていきます。

精神科は、「こころ」が原因や要因となっている病気のうち、

精神症状を重視してみていきます。

 

精神科で扱うお薬は少し特殊で、

使い慣れているかどうかが重要になります。

また精神科では、精神療法的なアプローチをしていきます。

このため精神症状が中心の神経症は、精神科がみていきます。

 

神経症には、以下のような病気があります。

  • ・社交不安障害
    ・パニック障害
    ・身体表現性障害
    ・心的外傷後ストレス障害(PTSD)

    ・強迫性障害

    ・解離性障害

    ・全般性不安障害

 

神経症は、身体の症状を伴っていることが多いです。

ですから多くの患者さんが、

まず内科などの身体科に受診することが多いです。

 

そこで精神科や心療内科などに紹介されればよいのですが、

中には内科で治療を続けていて、

いつまでもよくならない患者さんもいらっしゃいます。

 

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6.心身症と神経症の違いとは?

心身症は「身体症状が中心」の病気で、神

経症は「精神症状が中心」の病気になります。

 

これまで心身症と神経症の違いをみてきました。

どちらも「こころ」に原因や要因があって、

  • 心身症:身体症状が中心の病気
  • 神経症:精神症状が中心の病気

になります。

 

心身症の定義では、

神経症やうつ病などの精神障害は除外となっています。

 

しかしながら精神症状がメインであっても、

身体とは密接に関係しています。

心と身体を切り離せるものではないのです。

 

ストレスの影響は心身の両面にあらわれます。

例えばうつ病でも頭痛や下痢の患者さんは多いですし、

緊張型頭痛や過敏性腸症候群などの患者さんが

ストレスからうつ病を発症することもあります。

 

それでは心身症になった時に、

何科に受診すればよいのでしょうか?

 

原則としては、

  • 心身症:心療内科
  • 神経症:精神科

となります。

 

高血圧や糖尿病など明らかな内科疾患の場合や、

精神症状が明らかな場合は問題にはならないかと思います。

 

たとえば自律神経失調症のように、

どちらともつかないような場合は、

精神科と心療内科のどちらを受診すればよいのでしょうか?

 

この場合は、どちらを受診しても大丈夫です。

多くのクリニックが「精神科・心療内科」や

「内科・心療内科」と掲げています。

 

このような時は、

どちらを受診しても標準的な治療を受けることができます。

 

まとめ

心身症とは、「こころ」が原因や要因となっていて、

何らかの身体疾患が認められることです。

 

神経症は、「こころ」が原因や要因となっていて、

何らかの精神疾患が認められることになります。

 

心身症は「身体症状が中心」の病気で、

神経症は「精神症状が中心」の病気になります。

 

「こころ」と「からだ」は、

自律神経系・内分泌系・免疫系で密接に関係しあっています。

 

 

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