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医療従事者にも意外と多い貧血の話

2017/03/02

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

この原稿はハフィントン・ポストからの転載です。

http://www.huffingtonpost.jp/kana-yamamoto/medical-anemia_b_14633094.html

 

南相馬市立総合病院 医師
山本佳奈

2017年3月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

 

「先生、私ずっと貧血なの。最近、勤務がつらくて‥。」

 

ある日、病棟に行くと

女性の看護師さんからこのような相談を受けた。

 

過去に鉄剤を内服したこともあるが、

ひどい便秘に悩まされて、内服はやめてしまったという。

 

だが、こうした相談は、今回が初めてではない。

貧血に悩む看護師さんから相談を受けることは多い。

いよいよ勤務に支障を来たしてしまうまで、

倦怠感や疲労感を自覚しつつも、みな勤務を続けているようだった。

 

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一体、どれくらいの看護師が貧血なのだろうか。

疑問に思った私は、昨年度の健康診断の採血結果をもとに、

自身の勤務先の病院の女性看護師の貧血の割合を調査した。

なんと、18.1%の看護師が貧血だと分かった。

この結果には、心底驚いた。

 

医療従事者である看護師の貧血の割合と、

一般女性の貧血の割合とさほど違いがなかったからだ。

 

2006年に実施された

健康な日本人女性1万3000人以上を対象とした調査によると、

50歳未満の日本人女性の22.3%が貧血であり、

そのうち25.2%は重度の貧血であったのだ。

 

では、どうして女性は貧血になりやすいのだろうか?

女性に貧血が多い原因として、月経による出血が挙げられる。

 

子宮筋腫や子宮内膜症、

子宮内膜増殖症が原因となって出血量が多くなり、

貧血を引き起こしているケースも少なくない。

 

ダイエットも、貧血をもたらす要因だ。

厚生労働省が2013年に実施した「国民健康・栄養調査」によると、

20代女性の平均エネルギー摂取量は1682kcal。

 

1946年2月の都市部の平均エネルギー摂取量は1696kcalであるから、

深刻な食糧難の頃よりも、

現代の20代女性のエネルギー摂取量の方が少ないのだ。

 

さらに、偏食も貧血をもたらす。

厚生労働省による2013年の「国民健康・栄養調査」のデータによると、

米などの穀類、魚介類、肉類、卵、大豆、野菜などを

組み合わせた栄養バランスのすぐれた食事を三食摂っている人は、

男女とも60代、70代以上は40%を超えたのに対して、

20代女性は24.6%、30代女性は23.8%であった。

 

若年女性の大半が、欠食や外食、

インスタント食品に頼った食生活により、

栄養バランスを崩していると分かる。

 

食事摂取量が少ないと、

食事から摂る栄養素は全体的に不足するが、

中でも不足しやすいのが、鉄である。

 

吸収率の高いヘム鉄は、

ダイエットの敵と思われがちな動物性食品に含まれており、

またビタミンの摂取は気にしたとしても、

鉄の摂取を意識している人は少ないからだ。

 

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相談を受けた貧血の看護師さんは言う。

疲労感を自覚することが多くなり、

同僚の看護師とのコミュニケーションがうまく取れない日や、

ミスを犯してしまう日が増えた、と。

 

インシデントを引き起こしてしまうのも、

時間の問題だと思い、ピルを内服するようアドバイスした。

ピルの内服により、月経血は少なくなり、

月経過多を改善することができるからだ。

 

医療従事者が健康管理もままならなければ、

患者さんにも悪影響を及ぼしかねない。

今一度、看護師の方々には、自身の健康について目を向けて欲しいと思う。

 

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