各分野の専門家が医師の転職や開業などに必要な情報を配信します。

トップ > 医師からの情報発信 > ゼチーアをダイエット目的で処方された方へ。ゼチーアで痩せるって本当?

ゼチーアをダイエット目的で処方された方へ。ゼチーアで痩せるって本当?

2017/04/23

 

*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。

 

ゼチーアをダイエット目的で処方された方へ。ゼチーアで痩せるって本当?

 

 

ゼチーアは、

小腸のコレステロールトランスポーターを

選択的にブロックする脂質異常症のお薬です。

 

主にLDL(悪玉コレステロール)が高値の時に使用します。

一方で最近ゼチーアを痩せるため、

ダイエット目的で処方されるケースが散見されます。

 

一見するとコレステロールを吸収阻害するのであれば、

ダイエットに使用できるような気がしますよね?

 

しかしゼチーアは痩せる効果というのがほとんどありません。

私たちが痩せるためには脂質よりもカロリーを制限する方が効果的なのです。

 

ここではゼチーアはダイエットして

効果がほとんどないことを説明したいと思います。

 

 

1.ゼチーアってどんな薬?

小腸からコレステロールの吸収を阻害することで、

LDLを低下させる脂質異常症のお薬です。

 

ゼチーアは小腸から

コレステロールを吸収するのを阻害する作用があります。

 

コレステロールは小腸にある刷子縁膜で吸収されます。

この刷子縁膜上には、

NPC1L1(Niemann-Pick C1 Like 1)があり、

この物質によって腸管から体内にコレステロールが吸収されます。

 

ゼチーアはこのNPC1L1を阻害することで

コレステロール(LDL)が小腸から吸収されるのを防ぎます。

 

さらにNPC1L1を阻害することで、

  • 善玉コレステロール(HDL)が増える
  • 中性脂肪(TG)が下がる

作用も確認されています。

 

ただし高LDL血症に使用されることが多いゼチーアですが、

現時点ではLDLの治療の第一選択肢はスタチン系です。

 

ゼチーアは、スタチン系単独と比較すると効果が弱いため、

第二選択薬という位置づけです。

 

ただしスタチン系単独を増量するより、

スタチン系とゼチーアを併用することで

相乗効果があることが知られています。

 

ゼチーア錠10mgの剤型のみ発売されており、

1日1回内服することで効果を発揮します。

 

02

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.ゼチーアはダイエット効果はないのか?

ゼチーアは脂質のみを阻害するためダイエット効果は期待できません。

最初に結論から言ってしまうと、

ゼチーアで痩せる効果はあまり期待できません。

近年の多くの研究で、脂質は体重とは直結しないことが分かっています。

 

例えば、大学生数人にオリーブオイル(約100cc)を

2週間毎日一気飲みさせた試験が有名です。

 

要するに脂質を大量にとらせた場合の、

体脂肪率及び体重の変化を見ています。

その結果、両方の数値とも有意な上昇は見られませんでした。

 

脂質の働きを具体的にあげると、

  1. 細胞膜の構成
  2. ホルモンの原料
  3. 胆汁酸の原料

などが挙げられます。

 

実際に私たちが食べ物で摂取した脂質は、

このように使用されて大部分は排泄されてしまいます。

脂質異常症の人は、

排泄し切れずに血中にコレステロールが

たくさん漂っているため問題になります。

 

そのため、ゼチーアなどの脂質異常症のお薬で

脂質を下げるのです。

 

実際にゼチーアの研究で体重をみた試験があります。

一部には確かに体重減少が示されています。

 

4つの試験を挙げると

  • 1、脂質異常症患者(14人)にゼチーアを5か月投与したところ、

      LDL-C (悪玉コレステロール)21.0%と有意に減少しました。

      実際の体重は60.1→58.1kg、BMI24.0→23.5、

      腹囲89.4→87.0cmが有意に減少。

      血液流動性も有意に改善しました。

 

  • 2、高コレステロール血症患者(38人)に

      ゼチーア投与を1~2か月行ったところ、

      LDL-Cは‐24%と有意に減少しました。

      体重65.3→64.2kg、BMI25.1→24.3、

      腹囲87.6→85.7cmと有意に減少しました。

 

  • 3、日本国内でゼチーアを100人に12週間投与したところ、

      LDL-Cは18.08%減少しましたが、

      体重の有意な変化はありませんでした。

 

  • 4、脂質異常の肥満者にゼチーアを90日間投与したところ、

      LDL-Cは有意に減少しましたが、体重は変化ありませんでした。

 

①・②は確かに体重が減少したとありますが、

これはゼチーアの効果というよりは、

試験に参加した際に

運動や食事療法を見直した結果と考えられています。

 

特にこの試験は欧米の試験です。

欧米食は太りやすい食事が多いため、

食事を見直すだけでも体重減少が期待できます。

 

実際に③の日本国内の試験では、

体重減少は認めませんでした。

 

そして④は、

太った人が痩せるかどうかを確認するために組まれた試験です。

実際に肥満者は痩せなかったという結論に出ています。

 

ゼチーアは肥満者でありながら、

LDLが170以下の方には、LDLを下げやすいという報告があります。

しかし肥満者の体重までは減らせないことが多いです。

 

脂質異常症がなくて痩せるための目的で、

ゼチーアを内服することは勧められません。

 

3.体重はどうして増えていくの?

カロリー主に糖質の過剰摂取が体重の上昇に影響します。

実際に脂質異常症の方が太っている人が多いのは確かです。

しかし脂質異常症の方は、

脂肪だけ食べているわけではありません。

 

実際に脂質異常症がある人は、

色々な食べ物をたくさん食べていることが多いです。

その中で太る原因になるのがカロリーです。

 

カロリーは食べ物の

  • 糖分1g=4Kcal
  • たんぱく質1g=4Kcal
  • 脂質1g=9Kcal

の合計になります。

 

一見すると脂質がカロリー多いように見えますが、

我々のカロリー摂取の半分以上が糖分といわれています。

 

糖分というと甘いものを想定するかもしれませんが、

実は糖分の大部分は炭水化物です。

 

炭水化物は、

  • ご飯
  • パン
  • 麺類

などのいわゆる主食といわれる食べ物に多く含まれています。

 

ご飯一杯150gで、

そこに含まれる炭水化物は56gと言われています。

 

56×4=224Kcalをご飯一杯食べただけで、

摂取することになるのです。

 

ちなみに身長・体重・年齢・運動量で推奨されるカロリーは違いますが、

大まかには2000Kcal前後が推奨されています。

 

糖分は我々の動くとき、考える時のエネルギー源になります。

一方で過剰にエネルギーが余ってるときは、

そのエネルギーをとりあえず貯えるようになります。

 

この貯えるための形がグリコーゲンという脂肪細胞なのです。

こうしてグリコーゲンが内臓や皮下脂肪として、

肥満の原因になるのです。

 

つまり肥満の原因は脂質を取りすぎて肥満になるわけではなく、

過剰に摂取した糖質が脂肪に置き換わった結果なのです。

 

現時点では脂質異常症も脂質が悪者ではなく、

糖分が悪者という考えに医学界でも変わってきて、

今後発表される脂質異常症のガイドラインでも

「脂質の摂取制限は緩和されるのでは?」と考えられています。

その分、糖質制限を厳しくされると予想されています。

 

そのため脂質の吸収のみ阻害するゼチーアは、

他の栄養素に影響を与えないため

肥満にはあまり効果がないと考えられています。

 

01

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.実際に痩せるためにはどうしたらよいのか?

カロリー摂取を制限するのと

運動によるカロリーの消費量を上げるのが一番の近道です。

 

おそらくこのページを読んでる人は、

「ゼチーア 痩せる」「ゼチーア ダイエット」などで

検索された方だと思います。

 

それらの多くの方は、

  • 「このまま楽して痩せたい」
  • 「食事量は減らしたくない」
  • 「運動したくない」

など甘い考えを持っている方も多いかと思います。

 

今そういった甘い考えの人を

誘惑してだまそうとする情報がたくさんあります。

 

テレビでもダイエット企画として、

「〇〇を食べたら痩せる」とよく特集が組まれています。

 

確かに一時的には痩せるかもしれません。

しかし長期的にみて、

何かを食べ続けるというのは無理があることが多いです。

 

結局一時的には痩せても、

リバウンドで元に戻ることが大半です。

 

そのため、痩せるためには

  1. 食事量を減らす
  2. 運動を増やす

以外にありません。

 

特に肥満者の方は、

  • 脂質異常症
  • 高血糖
  • 高血圧

を合併していることも多いです。

 

これら3つと肥満を合わせて死の四重奏と医学界では読んでます。

この4つは動脈が固くなる動脈硬化の原因になります。

動脈が固くなり、さらにプラークというコブができると、

動脈が閉塞しやすくなります。

 

動脈が閉塞した部位が心臓や脳などですと、

  • 心筋梗塞などの虚血心疾患
  • 脳梗塞・脳出血などの脳血管障害

などの病気が起きやすくなります。

 

これらの病気は予兆もなく、突然発症します。

死亡率も非常に高いですし、

一命をとりとめたとしても激しい痛みなどの症状、

およびその後の後遺症に悩まされる恐ろしい病気です。

 

これらの病気になってから

「痩せておけばよかった」と後悔しても、時すでに遅しです。

 

結論としてダイエットを目指すためには

まず甘い考えを捨てるのが一番です。

「ゼチーアを飲んで痩せましょう」といった

甘い誘惑にひっかからないようにしましょう。

 

まとめ

  • ゼチーアは、小腸からコレステロールの吸収を阻害することで、
    LDL(悪玉コレステロール)を低下させるお薬です。
  • 肥満の原因は、カロリーの過剰摂取、
    主に糖分の過剰摂取によるものです。
  • ゼチーアは脂質のみしか吸収阻害しないため、
    ダイエットには意味がないと考えられています。
  • ダイエットは食事制限と運動療法が一番の近道です。
    薬や食べ物に頼っても一時的なことが多いです。

 

 

お問い合わせはこちら