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肺気腫とはどんな病気?寿命を縮めるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の怖さ

2017/04/29

 

*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。

 

肺気腫とはどんな病気?寿命を縮めるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の怖さ

 

 

肺気腫やCOPDという言葉をみなさんご存知でしょうか?

もともと肺気腫として知られていて、

肺気腫はタバコで肺が穴ぼこだらけになる病気のことをいいました。

 

肺気腫では肺や気管支の壁がボロボロになり、

このせいで息を吐くときに途中でふさがってしまったりします。

上手く息を吐ききれなくなるので、

呼吸機能が落ちてしまいます。

 

肺気腫の病気の本質は、

肺が穴ぼこだらけになるというよりは、

呼吸機能が落ちてしまうことにあります。

 

このため肺気腫は慢性気管支炎とあわせて、

COPD(Chronic Obstructive Pulmoary Disease)と呼ばれるようになりました。

 

COPDは日本語にすると、

慢性閉塞性肺疾患になります。

これはタバコで気管支が狭まって、

慢性的に閉塞してしまう肺の病気ということです。

 

慢性的にというとぼんやりしてしまいますが、

「一生もとに戻らない」といわれると、

重篤な病気だということに気づいてもらえるかと思います。

 

肺は非常に繊細な臓器のため、

COPDになってしまうと二度と治ることはありません。

 

そのような状態でタバコを吸い続けると、

さらにCOPDが悪化して進行が加速します。

 

最近では、この肺気腫やCOPDについて注意喚起して、

禁煙を呼びかけるコマーシャルもあります。

ここでは、肺気腫(COPD)とはどんな病気か説明したいと思います。

 

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1.肺気腫(COPD)とはどんな病気?

タバコで肺が傷つけられた結果、

気管支が狭くなる病気です。

一度発症するとタバコをやめても二度ともとには戻らないのが特徴的です。

 

まずは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のガイドラインの定義をみてみましょう。

 

COPDとは、タバコ煙を主とする有害物質を

長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である。

 

呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す。

気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が

様々な割合で複合的に作用することにより起こり、進行性である。

 

臨床的には徐々に生じる体動時の呼吸困難や慢性の咳、痰を特徴とする。

これらの症状に乏しい場合もある。

 

なかなか難しいし、長いですよね。

これでは何の事だかさっぱりわからないと思うので、

一つ一つ解説します。

 

タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた
肺の炎症性疾患である。

2011年のガイドラインより、

タバコの煙が主な原因であることが

しっかりと記載されるようになりました。

 

車のガスや大気汚染でもCOPDになるのですが、

日本では85~90%がタバコの煙が原因です。

 

さらにタバコを実際に吸っていなくとも、

周りの人が吸ってる煙(副流煙)を吸ってしまっても

肺が傷ついてしまう病気です。

 

タバコを吸う人は自分の健康を害するだけでなく、

周りの人の命まで危険にさらしていることをよく自覚しましょう。

 

呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す。

呼吸機能検査という検査は、

肺の機能をみるために行われます。

 

呼吸検査で調べる項目は以下の2つです。

  1. 肺のボリュームはどれくらいか?(肺活量)
  2. 息がどれくらい思いっきり吐けるか?(1秒率)

 

「1.肺のボリューム」とは、

どれくらい息が吸ってどれくらい息が吐けるかをみる検査です。

 

検査内容としては、息を吸えるところまで吸って、

息を吐けるところまで吐き切ります。

その吸えた量と吐いた量をみる検査です。

 

一方で「2.息がどれくらい思いっきり吐けるか?」は

一秒間にどれくらい息が吐けるかをみます。

 

ロウソクの火を思いっきり消すように、

息を全力でフーー!!と吐くのです。

 

1秒間で吐けた量/全部の吐けた量で計算します。

 

これで1秒間に70%以下しか吐けなかったら、

スムーズに空気を吐けないことを意味します。

気道に何らかの閉塞障害があると診断できます。

 

COPDでは、この閉塞性障害があるかどうかが重要になります。

タバコの煙による炎症で気管支が狭くなると、

一度に吐ける量が少なくなります。

 

これを呼吸機能検査をすることで、

客観的に数字で確認することができます。

 

気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で
複合的に作用することにより起こり、進行性である。

COPDの正式名称は、chronic obstructive pulmoary diseaseといいます。

日本語では慢性閉塞性肺疾患と訳します。

日本語で書かれてもなかなかピンと来ないですよね。

 

これはタバコで気管支が狭まって、

慢性的に閉塞してしまう肺の病気ということです。

 

タバコの煙は口から吸ったら喉を通り、

気道から狭い気管支の隅々まで煙が行き渡ります。

つまり気管支の中枢から末梢まで、

肺の全てをタバコの煙で傷つけてしまうのです。

 

そしてタバコの煙で色々傷つけられた結果、

気管支が狭まってしまいます。

このことを難しく言っているのです。

 

さらに慢性的、進行性など難しい言葉で書かれていますが、

簡単にいうと

「一生良くならない病気です。どんどん悪くなることが多いです。」

といっているのです。

 

肺は非常に繊細な臓器であり、

一回傷つけてしまうと良くならないのです。

 

むしろ年齢とともに体力が落ちてくると、

肺の機能自体も落ちていきます。

 

そのためタバコをやめても、

肺の状態はどんどん悪くなることが予想されます。

このことを進行性と表現しているのです。

 

臨床的には徐々に生じる体動時の呼吸困難や慢性の咳、痰を特徴とする。これらの症状に乏しい場合もある。

タバコを吸ってる人は、

ふと我に返ってみると咳や痰は

日常茶飯事なことが多いのではないでしょうか?

 

実はすでにCOPDになっている可能性もあります。

 

さらに病気が進行すると肺が穴ぼこだらけになって、

命を維持するのに十分な息を吸えなくなってしまいます。

こうなると、動いただけで息が苦しくなります。

 

一方で2014年のガイドラインから、

「症状に乏しいこともある」という記載が加わりました。

 

つまり、「症状がないから肺気腫(COPD)ではない!!」と

否定はできないということです。

 

逆に症状が出づらく、

年齢の低下とともに一気に症状が出てくる人もいます。

決して肺気腫の症状がないだけで安心しないようにしましょう。

 

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2.肺気腫(COPD)って怖い病気なの?

肺気腫(COPD)は、

2030年では世界で3番目に多い死因になると予想されている病気です。

2016年でも日本で死因の第9位になっています。

 

ここまで読んでいただいた人の中には、

「タバコを吸っているせいで二度と痰や咳が止まらなくなる病気かぁ…」

くらいの認識で終わってしまった人もいるのではないでしょうか?

 

タバコを吸ってれば、

咳や痰はつきものくらいで甘く考えて良い病気なのでしょうか?

 

肺気腫(COPD)は、

決して甘く考えてはいけない病気です。

 

2004年のWHOの報告では、

COPDは死因の第4位にランキングしています。

全世界の死亡数のうち、COPDは5.1%でした。

 

つまり世界を見渡してみると、

20人に1人は肺気腫で亡くなっていることになります。

そしてこれは、実は氷山の一角とされています。

 

タバコを吸っていても肺気腫やCOPDと診断されていない人は、

実はかなり多いと考えられています。

 

今後この病気が注目されていることで、

さらに診断される人は増えると予想されています。

そのため2030年では、世界の死因第3位に躍り出るといわれています。

 

一方で、日本の死因ランキングをみてましょう。

 

COPD死亡率

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の死因は、

  1. 悪性新生物(癌)
  2. 心疾患(心筋梗塞・心不全)
  3. 肺炎

などの病気に並んで、COPDが第9位にランクインしています。

 

平成22年では、約1万6000人の人がCOPDで命を落としています。

つまりCOPDは、

ただ咳や痰が続く病気ではなく、

命にかかわる病気なのです。

 

咳や痰は煩わしいと感じるかもしれないですが、

これらはばい菌を体の外に出そうとする防御反応です。

 

つまり日常茶飯事に咳や痰が出続けるという人は、

それだけ肺の機能が弱って

常に防御態勢を取らなければいけない状態ということです。

 

そのためCOPDの人は、

普通の人だと何でもない風邪でも非常に症状が悪化します。

防御状態が弱っているからです。

 

さらに肺までばい菌が入ってしまうと、肺炎になります。

普通の人では多少の肺炎は「風邪かな?」ぐらいで収まりますが、

COPDの人は窒息するかの様な

息苦しさとともに入院が必要になったりします。

 

COPDの人は些細なことで病気が悪化して、

苦しい思いを何度も経験しながら命を落とす恐ろしい病気なのです。

 

タバコを吸っている人は、

「タバコをやめるくらいならぽっくり死んでもいいや」といって

やめない人も度々みかけますが、

多くの患者さんをみてきた私からすると、

人間の体はぽっくり死ぬようにできていません。

体はできるだけ生きようとして一生懸命息をしようとするので、

とても苦しい病気です。

 

そして息が苦しいレベルになってからでは、

残念ながら著効する薬がないのが現状です。

 

死因のランキングの横に、今後の予想推移も載せました。

脳血管疾患や喘息は治療薬が進み、

今後は亡くなる方も減っていくことが予想されています。

 

一方で、COPDは、今後も亡くなる方が増え続けると予想されています。

これは一回肺がタバコで壊れてしまうと

肺の機能を戻すのが不可能なことと同時に、

COPDが悪化したときの特効薬もないからです。

 

そのため息が苦しいから何とかしてほしいとなる前に、

タバコをやめるのが非常に大切です。

 

まとめ

  • COPDはchronic obstructive pulmoary diseaseが正式名称で、
    日本語で慢性閉塞性肺疾患といいます。
  • 肺気腫(COPD)はタバコで肺が傷ついた結果、
    気管支が狭くなり閉塞障害が出現する病気です。
  • 肺気腫(COPD)は咳、痰、息苦しさといった症状が出ます。
  • 肺気腫(COPD)は一度発症すると二度と治らない病気です。
  • 肺気腫(COPD)は世界で死因弟4位、日本でも死因弟9位の疾患です。

肺気腫(COPD)という病気が気になった方は

タバコを一刻も早くやめるよう心がけましょう。

 

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