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Japan as Number Fifty-One! 国連World Happiness Report 2017の評価

2017/04/18

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

愛知県がんセンター名誉総長
大野竜三

2017年4月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

 

かつてはJapan as Number Oneと言われて浮かれていた時代もあったが、

つい最近発表されたWorld Happiness Report 2017(世界幸福度報告書)による

我が国の幸福度は155か国中51位[1]。

 

極めて残念な現実である。

 

この報告書は国連のSustainable Development Solutions Networkが

2012年より3月20日のInternational Day of Happinessにあわせて刊行している。


ここでいう幸福度は、

ギャラップ社の世論調査(Gallup World Poll)による

キャントリルの梯子質問(the Cantril ladder question)」によって

得られた回答者の主観的幸福度(subjective happiness)をいう。

 

2014~2016年の3年間に各国で毎年おおよそ1,000名、

合計約3,000名の回答を国ごとに算定したものである。

 

質問は、happinessとかwell-beingという言葉を意識的に避け、

1)最下段が0、最上段が10の番号が付けられている梯子があると仮定してください。

2)最上段はあなたにとって考えうる最良の生活(the best possible life)を、

   最下段はあなたにとって考えうる最悪の生活(the worst possible life)を表しています。

3)現時点で、あなた自身は自分がこの梯子のどの階にいると感じていますか? の順で

聞いてゆき、回答者の国別平均スコアを算出する。

 

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2017年の主観的幸福度第一位は

ノルウェイ(平均スコア:7.537、以下同じ)で、

デンマーク、アイスランド、スイス(7.494)と続く。

 

これらベストフォーは2016年と同じであるが、

互いの差は僅少で統計学的有意差はなく、

2016年はデンマークが1位、ノルウェイは4位であった。

 

次いで、フィンランド(7.469)、オランダ、カナダ(7.316)、

ニュージーランド、オーストラリア、スウェーデン(7.284)と続く。

これらベストテンも順位に変動があるものの昨年と同じである。

 

そして、14位に米国(6.993)、16位にドイツ(6.951)、

19位に英国(6.714)、26位にアジアトップのシンガポール(6.572)が入リ、

31位にフランス(6.442)、32位にタイ、

33位に台湾、34位にスペイン(6.403)と続く。

 

35位に一人当たりのGDP世界一のカタール、

42位にマレーシア、48位にイタリア(5.964)、

49位にロシア(5.963点)、そして51位に我が日本(5.920)がくる。

 

以下、OECD加盟国を列記すると、

ラトビア54位、韓国56位(5.838)、

スロベニア62位、エストニア66位、トルコ69位、

ハンガリー75位、ギリシャ87位、ポルトガル89位(5.195)である。

 

中国は79位(5.273)、インドが122位(4.315)、

最下位は中央アフリカ共和国(2.691点)である。


我が国の順位を年次別にみると、

2012年が44位、13年が43位、15年が46位、16年が53位、

本年が51位であり、上位3分の1グループの最下位あたりを低迷している。

 

51位というのは奇しくも2017年における

日本男子サッカーの世界ランキングと同じである。

 

なお、報告者たちは、統計学的手法を駆使して、

各国の幸福度スコアを以下の6要素を中心に分析して説明を試みている[2]。

 

この領域の専門家でない筆者にはいささか難解ではあるが、

まず、(1)世界銀行統計による国民一人当たりのGDP、

(2)WHO発表の健康寿命、

ならびにギャラップ社世論調査による下記4項目すなわち

(3)社会的支援の有無

(あなたが困ったとき、いつでもあなたを助けてくれる親族や友人がいるか?)、

(4)人生選択の自由度

(人生で何を行うかを選択する自由に関して、現在あなたは満足か、それとも不満足か?)、

(5)汚職(corruption)の有無(政府ならびにビジネス界に汚職がまん延しているか?)

についてYes or Noでの二者選択回答に加え、

(6)寛大さ(過去一か月間に慈善事業に寄付したお金を国民一人当たりのGDPで換算)を調べる。

 

そして、上記6要素全てが世界最低であるとみなした

架空国ディストピア(Dystopia)を設定し、

6要素ごとにディストピアと比較したスコアを算定する。

 

さらに、ギャラップ社世論調査の

「昨日あなたは次のような感情を経験しましたか?

幸せ(happiness)?、楽しみ(enjoyment)?」と

「昨日あなたは微笑んだり、笑ったりしましたか?」という質問で正の影響度を調べ、

「昨日あなたは次のような感情を経験しましたか?

悩み事(worry)?、悲しみ(sadness)?、怒り(anger)?」で

負の影響度を調べる。

 

加えて、世界銀行発表のジニ指数で表す経済格差と

ギャラップ社世論調査で得られたジニ指数を「その他」としてまとめて、

「ディストピアの幸福度スコア(1.85)+その他」として、

各国の幸福度の違いを理論的に説明しようと試みている。

 

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トップのノルウェイの主観的幸福度における6要素の寄与度をみると、

平均スコア7.537のうち、

国民一人当たりのGDPがスコアの21.4%、

社会的支援が20.3%、健康寿命が10.6%、

人生選択の自由度が8.4%、寛大さが4.8%、汚職が4.2%、

ディストピア+その他が30.2%である。

 

一方、日本の幸福度平均スコア5.920のうち、

国民一人当たりのGDPが23.9%、社会的支援が24.3%、

健康寿命が15.4%、人生選択の自由度が8.5%、

寛大さが2.0%、汚職が2.8%、ディストピア+その他が23.2%である。

 

なお、155か国全体では、

平均スコア5.310における6要素の寄与度は、

社会的支援が34%、国民一人当たりのGDPが28%、

健康寿命が16%、人生選択の自由度12%、

寛大さ7%、汚職が4%であり、

お金や長寿よりも、困ったときに頼れる制度や

人の存在が主観的幸福度により強く寄与しているようだ。


日本の幸福度をノルウェイと比較すると、

全体で1.717ポイント低く、

要素別では健康寿命が優れているものの、

他の5要素では劣っており、とりわけ汚職と寛大さのポイントが低い。

 

我が国の主観的幸福度が世界で第51位、

G7の中では最下位、

OECD加盟35か国中27番目という惨憺たる状況にあることは、

意外と知られていない。

 

このWorld Happiness Report 2017に関しても、

我が国の新聞は簡単に触れているだけであり、

テレビはもちろん、ネットでもほとんど取り上げられていない。

 

医療界のネット情報源である「日経メディカル」、

「m3.com」、「Medical Tribune」なども全く取り上げていない。

 

4割を超える非正規雇用、

自殺者を生むほどの超過勤務、

「保育所落ちた日本死ね!」に代表される貧しい社会的支援、

保育所建設に反対する住民エゴ、

OECD加盟国中4番目に高い相対的貧困率(約15%)、

OECD加盟国平均以上の経済格差、

1,000兆円に近い国債残高など、

冷静に分析すれば我が国の主観的幸福度が世界第51位であるのも理解できる。

 

一方で、テレビなどでのお笑い番組の大隆盛や

熱狂的なスポーツ観戦などは、

国民の目を現実から逸らそうとする謀略ではないかと勘ぐりたくなる。

 

本年3月20日の国連International Day of Happiness前後の

国会予算委員会での討論課題は森友学園問題ばかり。

 

国民の幸福度を上げるための政策が真剣に論議されていたとは到底思われない。

同じ世界ランキング51位であっても、

サッカーの順位よりも、

国民の幸福度順位を上げることの方が遥かに重要であろう。

 

文献
1)http://worldhappiness.report/ed/2017/
2)https://s3.amazonaws.com/sdsn-whr2017/StatisticalAppendixWHR2017.pdf

 

 

 

 

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