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新専門医制度への危惧 ―日米両方の専門医教育を経験した立場から―

2017/05/02

 

*この原稿はMRIC by 医療ガバナンス学会の許可を受け転載しています。

 

アーカンソー大学神経内科レジデント
原田陽平

2017年5月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 

 

私は、日本で初期研修、神経内科後期研修を1年半行った後、

米国に渡り、現在神経内科レジデントとして働いているものです。

 

海外にてレジデンシーを求める多くの医師がそうであるよう、

私もこの経験を経て、

自分の国の医療に役立てるような医師となりたいと思って日本を発ちました。

 

若輩者ではありますが、

現在まさに米国にて専門医教育を受けている立場として、

また日本でも専門医教育を受けていた立場として、

昨今話題となっている新専門医制度について危惧する点があり、

ここに投稿させていただきます。

 

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今回の新専門医制度は

「プログラム制」という形を導入しようとしています。

 

その中で特に連携施設との循環型研修という

新しいシステムについて懸念があります。

 

専門医制度新整備指針から引用すると、

それは「一つの基幹施設のみでの完結型の研修ではなく、

一つ以上の連携施設と研修施設群を作り循環型の研修を行うもの」であり、

「一つの病院だけの研修を行うと、

その病院の性質(地域性、医師の専門等)の偏りにより

研修に偏りがでる可能性があるので、

他の連携病院を必ず作り循環型の研修を行うものである」

というのが理由のようです。

 

確かに、どの地域で研修を受けたとしても

専門医として働くために必要な知識や経験を得られる環境整備が必須だと思います。

 

しかし、それは近くの関連病院と連携して解決される問題なのでしょうか?

私は、疾患の多様性の確保以上に、

実際に受ける指導の質の保障が重要だと思います。

 

米国では何十年にもわたり

専門医トレーニングプログラムが実施されてきました。

 

その到達目標はMilestoneと呼ばれる

Patient care, Medical knowledge, Professionalism,

Communication skillsなどの項目により規定されます。

 

それは各ローテの複数名の指導医や上級医から評価され、

点数化され、学年ごとの必要点数を超えることで

到達目標に達したことになります。

 

中には厳しいフィードバックが待っている場合もありますが、

そういった中から自分に何が足りないのかを客観的に学んでいきます。

こうして専門医教育の質が担保されるのだと感じています。

 

私は、専門医教育に必要とされるのは、

機構側が規定する「経験した疾患の数や種類」ではなく、

このような中身のある指導だと信じます。

 

それは、我が国であれば、

これまで行われてきたようないわゆる屋根瓦式の教育制度であり、

徒弟式の教育であると思います。

 

施設ごとの医師の数が圧倒的に多い米国とは違い、

日本では様々な専門からのフィードバックを

まとめて受けることは難しいかもしれません。

 

しかし、その科の様々な疾患に精通した指導医や

同じ経験を踏んできた上級医からの指導を

単一施設で継続的に受けることで確実に成長していくことができます。

 

それぞれの施設の中に伝統的に息づくこのシステムこそが、

我が国の専門医教育の要であると考えます。

 

新専門医制度はこのシステムを瓦解させる可能性があるようにみえるのです。

 

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米国にて研修を始めて、

改めて日本の医学教育の良さを実感します。

 

師や兄弟子からの温かい指導は

国を超えてもいつになっても忘れないものです。

 

どうか専門医機構の皆様には、

我が国の医学教育の本質を見失わないような

制度の見直しを求めたいと思います。

 

 

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